· 薬剤師たけすた · 健康 · 23 min read
プロテインを飲むとお腹が張るのはなぜか|薬剤師が原因と対処を整理
体のためにと飲み始めたプロテインで、かえってお腹が張る。原因は粉の中の「たんぱく質以外の部分」にあることが多く、切り分ければやめずに済む場合があります。

「体のためにと思ってプロテインを飲み始めたのに、お腹が張るようになった」
運動を始めた方、朝食の代わりにしている方、食が細くなった家族に飲ませている方。きっかけはさまざまですが、困り方はよく似ています。
飲んだ日の午後に下腹が重くなる。ガスが増える。人と会う日は飲むのをためらう。
サキさんプロテインって体にいいはずですよね。飲むとお腹が張るのは、私に合っていないということですか?
薬剤師たけすた体質が合っていない可能性もあります。それに加えて、粉に入っている「たんぱく質以外の成分」が関わっていることも多いです。そこを切り分けると、やめずに済む場合があります。
プロテインの粉は、たんぱく質だけでできているわけではありません。原料からついてくる糖、甘味料、あとから足された食物繊維——お腹の張りに関わるのは、この辺りであることが多いです。
原因を4つに分けて、順番に見ていきます。
そもそも、お腹はなぜ張るのか
張りの正体は、腸の中にたまったガスです。
食べたものは、まず小腸で消化されて吸収されます。ここで吸収しきれなかった分が、大腸まで流れていきます。大腸には腸内細菌がたくさん棲んでいて、届いたものをエサにして発酵させます。
このとき、体に良いとされる短鎖脂肪酸(酪酸などの有機酸)と一緒に、ガスも作られます。ガスが多く出れば、お腹は張ります。

お腹の張りは「体に合わないものが入った合図」と受け取られることが多いです。それに加えて、小腸で吸収しきれずに通り抜けた成分が多かったサインでもあります。何が通り抜けているのかが分かれば、手の打ちようがあります。
薬剤師たけすたガスが出ること自体は異常ではありません。問題になるのは、量が急に増えたときと、痛みをともなうときです。
たんぱく質そのものは、小腸でアミノ酸に分解されて吸収されます。大腸まで大量に流れていくことは、通常はあまりありません。
では何が流れているのか。ここからが本題です。
張りの原因になりやすい4つ
| 原因 | 関係するもの | 見分ける手がかり |
|---|---|---|
| ① 乳糖 | ホエイ(WPC) カゼイン 溶かす牛乳 | 牛乳でもお腹がゴロゴロする |
| ② 大豆オリゴ糖 | 大豆(ソイ) | 豆類や豆乳でもガスが増える |
| ③ 甘味料(糖アルコール) | ソルビトール マルチトール 還元水飴 | 甘い味つきの製品だけで張る |
| ④ 1回に飲む量 | 粉の量そのもの 足された食物繊維 | 半分にすると軽くなる |

① 乳糖——ホエイで多い原因
ホエイプロテインは、牛乳からチーズを作るときに出る液体(ホエイ)が原料です。原料が牛乳なので、乳糖(牛乳の糖分)がついてきます。
乳糖は、小腸にあるラクターゼという酵素で分解されてから吸収されます。この酵素の働きは、離乳のころをピークに下がっていくことが知られています。日本人を含むアジア系の人では、大人になると活性が低い人が多いと報告されています。
出典:MSDマニュアル家庭版「乳糖不耐症」/一般社団法人Jミルク「よくわかる!乳糖不耐」ファクトブック(2020年3月), 2026年9月確認
分解されなかった乳糖は、そのまま大腸へ届きます。そこで腸内細菌のエサになり、ガスが出ます。牛乳でお腹がゴロゴロする人がホエイで張るのは、同じ道すじです。
ここで大事なのは、ホエイにも種類があることです。
| 種類 | 乳糖の残りやすさ | 特徴 |
|---|---|---|
| WPC(濃縮) | 多い | こして濃縮しただけ。価格が抑えられ、市販品の主流 |
| WPI(分離) | 少ない | 乳糖や乳脂肪をさらに取り除いた分、価格は上がる |
| WPH(加水分解) | 少ない | あらかじめ細かく分解済み。価格はいちばん高い |
同じ「ホエイプロテイン」という名前でも、中身の作り方が違います。パッケージの裏か商品ページに、WPCかWPIかは書かれています。
ケンジさん安いホエイを買ったんですが、それが良くなかったんでしょうか?
薬剤師たけすた安いことが悪いわけではありません。安い製品の多くがWPCで、乳糖が残りやすいという事情があるだけです。牛乳で張らない方なら、WPCで問題ないことも多いです。
もう一つ見落とされがちなのが、溶かす液体です。牛乳で溶かしていれば、粉の乳糖に牛乳の乳糖が上乗せされます。まず水に替えてみるだけで変わる方もいます。
② 大豆オリゴ糖——大豆プロテインの場合
大豆プロテイン(ソイプロテイン)には乳糖は入っていません。乳糖で張っていた方が乗り換える先として、よく選ばれます。
ただし大豆には、別の成分が入っています。ラフィノースやスタキオースといった大豆オリゴ糖です。
これらは人の消化酵素では分解されにくく、小腸を通り抜けて大腸まで届きます。そこで腸内細菌のエサになり、短鎖脂肪酸とガスが作られます。はじめに見たガスの仕組みと同じ道すじです。
腸内細菌のエサになるという意味では、腸活の観点からはむしろ歓迎したい成分です。ただ、張りやすい方にとっては、これがそのまま不快感になります。
薬剤師たけすた豆類や豆乳を飲んだときもガスが増えるという方は、大豆オリゴ糖が関わっている可能性があります。乳糖とは別の話なので、ホエイから大豆に替えても変わらないことがあります。
乳糖でも大豆オリゴ糖でも張るという場合は、エンドウ豆(ピー)や米が原料のプロテインという選択肢もあります。取り扱いは少なめですが、乳糖は含まれません。
③ 甘味料——味つきの製品だけで張るとき
飲みやすい味のついたプロテインには、甘味料が使われています。このうち糖アルコール(ソルビトール・マルチトール・還元水飴など)は、小腸で吸収されにくい性質があります。
吸収されずに大腸へ届いた分は、腸内の浸透圧(水を引き寄せる力)を上げて水分を引き込み、腸内細菌に発酵されてガスのもとにもなると考えられています。
糖アルコールは、一度に多く摂ると体質によって一時的にお腹が緩くなることがあると案内されています。
出典:東京都保健医療局「食品安全FAQ ノンシュガーや低カロリーの菓子や飲料を食べたり飲んだりすると下痢をしてしまうのですが、何故でしょうか」, 2026年9月確認
原材料表示の後ろのほうに、ソルビトール・マルチトール・還元水飴という名前がないか見てください。同じブランドでもプレーン味には入っていないことがあります。
なお同じ糖アルコールでも、エリスリトールは多くが小腸で吸収されて尿から出るため、お腹に残りにくいとされています。
④ 量と、足された食物繊維
最後は単純に量です。1回にたくさん溶かして一気に飲むと、消化が追いつかない分が増えます。
もう一つ、最近のプロテインには食物繊維(イヌリン・難消化性デキストリンなど)があらかじめ配合されているものがあります。腸活を意識した設計ですが、これ自体が大腸で発酵する成分です。
腸活のために選んだ製品が、いま張っている原因になっていることもあります。
サキさん食物繊維入りって、良さそうだから選んでいました。
薬剤師たけすた選び方として間違っていません。それに加えて、張っている時期に入れるものではない、という時間の問題があります。落ち着いてから少しずつ足すほうが続きます。
どれくらい必要なのか——量の目安
原因を切り分ける前に、量の目安も押さえておきます。たんぱく質の1日の推奨量は、年齢と性別で決まっています。
| 年齢 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 18〜64歳 | 65g | 50g |
| 65〜74歳 | 60g | 50g |
| 75歳以上 | 60g | 50g |
たとえば卵1個で約6g、納豆1パックで約7g、さけ1切れ(80g)で約18g、ごはん茶碗1杯で約4gです。
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」, 2026年9月確認
肉・魚・卵・大豆製品を1食に1品ずつ入れると、この範囲に近づきやすくなります。プロテインは、そこに届かない分を補うものという位置づけです。
運動量が多い方はこれより多く必要になりますが、その場合も一度にまとめて飲むより、回数を分けたほうがお腹への負担は軽くなります。
なお、腎臓の働きが落ちている方など、医師からたんぱく質の量を決められている場合は、この目安は当てはまりません。プロテインを足す前に、主治医か薬剤師にご相談ください。
薬剤師たけすたプロテインは、食事で足りない分を補うためのものです。まずは、いまの食事でどれくらい摂れているかを数えるところからだと思っています。
自分の原因を切り分ける
4つのうちどれかを当てるには、一度に1つだけ変えるのが確実です。全部いっぺんに変えると、何が効いたのか分からなくなります。

| 順番 | 試すこと | 軽くなったら疑うもの |
|---|---|---|
| 1 | 牛乳をやめて水で溶かす | 乳糖 |
| 2 | 1回量を半分にして2回に分ける | 量 |
| 3 | 味つきからプレーンに替える | 甘味料(糖アルコール) |
| 4 | WPCからWPIに替える | 乳糖 |
| 5 | ホエイと大豆を入れ替える | 大豆オリゴ糖 |
上から順に、お金がかからない順に並べています。1と2はいますぐできて、ここで落ち着くこともあります。
それぞれ1週間ずつ試してください。体調は日によって揺れるので、1日試して結論を出すと判断を誤ります。
飲むタイミングも一つの変数です。空腹時に濃い液体を一気に入れると、胃腸への負担が大きくなります。食後や食事と一緒のほうが、おだやかになることがあります。
薬剤師たけすた正直に言うと、私自身も腸活は「絶対やる」ではなく「できるだけやる」で続けています。切り分けも気負わず、1つずつで十分です。
腸の側の土台をどう置いておくか
原因を切り分けたあとの話です。同じ製品を飲んでいても、張る日と張らない日があります。腸内環境の状態が日によって違うことも関係していると考えられます。
ここは、このブログでずっと書いてきたことと同じです。水溶性食物繊維は腸内細菌のエサになる成分、発酵食品は菌そのものを含む食品として知られています。どちらも日々の食事に少しずつ入れておくものです。
薬剤師たけすた順番は「原因を外す → 落ち着かせる → 土台を足す」です。逆にすると、原因が残ったままになりやすいです。
落ち着いてから足すもの
サンファイバーは食品で、張りを取るために使うものではありません。ビオスリー Hi 錠は整腸を目的とした指定医薬部外品です。どちらも、日々の土台として少しずつ足すものとして挙げます。
サンファイバーは、お腹で発酵しやすい糖類(FODMAP)が基準値以下であることをモナシュ大学が確認する低FODMAP認証を受けた素材です。
出典:太陽化学「からだにやさしい水溶性食物繊維『サンファイバー』がモナシュ大学からLow FODMAP認証を取得」(2022年9月29日), 2026年9月確認

サンファイバー
粘性が低く、飲み物に溶かしてもさらさらのまま
グアー豆由来の食物繊維(PHGG)。味がほとんど変わらないため、味噌汁やコーヒーに混ぜて続けやすい設計です。低FODMAP認証(発酵性の糖質が基準値以下であることをモナシュ大学が確認する制度)を受けた素材です。私が水溶性を足したいときにまず挙げるのはこれです。張りが落ち着いてから、少量で始めてください。
※本記事はアフィリエイトリンクを含みます。商品紹介は薬剤師としての個人的見解であり、効果・効能を保証するものではありません。 既往症・服薬中の方は必ず主治医・薬剤師にご相談ください。

ビオスリー Hi 錠
市販では珍しい、糖化菌・乳酸菌・酪酸菌の3菌種を配合
小腸の糖化菌、小腸から大腸上部の乳酸菌、大腸の酪酸菌を1製剤に。医療機関で処方されるビオスリー配合錠と同じ3菌種を組み合わせた指定医薬部外品です。私自身が10年続けている整腸剤です(個人の使用経験であり、効果を保証するものではありません)。持病や服用中の薬がある方は、かかりつけの医師か薬剤師にご相談ください。Amazon・楽天で購入できます。
※本記事はアフィリエイトリンクを含みます。商品紹介は薬剤師としての個人的見解であり、効果・効能を保証するものではありません。 既往症・服薬中の方は必ず主治医・薬剤師にご相談ください。
よくある質問
ケンジさん張るけれど、続けたほうがいいですか?やめたほうがいいですか?
薬剤師たけすた痛みがなく、日常生活に支障がない程度なら、原因を切り分けながら続けて構いません。痛みが強い、体重が減る、便に血が混じるといった場合は、自己判断せず受診してください。
サキさん飲み始めのころは張ったのに、しばらくしたら気にならなくなりました。慣れたということですか?
薬剤師たけすた腸内細菌の構成が、入ってくるものに合わせて少しずつ変わったと考えられます。数週間かけて落ち着くこともあります。ただし痛みが続く場合は、慣れを待たずに一度止めてください。
ケンジさんガスが増えるのは、腸内細菌が働いている証拠だと聞きました。良いことなのでは?
薬剤師たけすた発酵が起きているのは事実です。ただ、量が多すぎて苦しいなら、いまの体には多いという合図です。ちょうどよい量まで戻してください。
サキさん子どもにもプロテインを飲ませていいですか?
薬剤師たけすた成長期のたんぱく質は、まず食事から摂るのが基本です。大人用の製品を量を減らして与える使い方は勧めず、必要な場合は必ず小児用の製品を使用してください。もしくは医師、薬剤師にご相談ください。
ケンジさん乳糖不耐かどうか、調べる方法はありますか?
薬剤師たけすた医療機関で調べる検査はありますが、日常的にはまず牛乳を水に替えて反応を見るほうが早いです。それで変わるなら、乳糖が関わっている可能性が高いと判断できます。
まとめ
プロテインでお腹が張るとき、たんぱく質そのものが合わないこともあります。それに加えて、一緒に入っている成分が関わっていることも多いです。
- 乳糖(WPC・カゼイン・溶かす牛乳)
- 大豆オリゴ糖(大豆プロテイン)
- 糖アルコールの甘味料(味つき製品)
- 1回量と、足された食物繊維
切り分けるコツは、一度に1つだけ変えて1週間見ることです。 牛乳を水に替える、量を半分にして2回に分ける——この2つはお金がかからず、ここで落ち着くこともあります。
そのうえで、水溶性食物繊維と発酵食品を、日々の食事に少しずつ入れておきます。ただし順番は、原因を外してからです。



