· 薬剤師たけすた · 健康 · 19 min read
整腸剤の選び方|ビオフェルミン・ビオスリー・ミヤBMを薬剤師が比較
ドラッグストアの整腸剤は、どれも同じに見えて中身の菌がまるで違います。何がどう違い、誰に向くのか。薬局で毎日聞かれる質問に、比較の形で答えます。

整腸剤の棚の前で、5分くらい固まったことはありませんか。
ビオフェルミン、ビオスリー、ザ・ガード、エビオス。パッケージにはどれも「おなかの調子を整える」と書いてある。値段もそこまで変わらない。結局いつも同じものを手に取るか、なんとなく安いほうを買って帰る。
薬局にいると、この質問を本当によく受けます。
サキさん整腸剤って、結局どれを選んでも同じなんですか?
薬剤師たけすた同じではありません。入っている菌の種類が違い、その菌が住む腸の場所も違います。選ぶ基準は「菌の名前」ではなく「どこで働く菌か」です。
この記事では、よく比較される3つを並べて整理します。結論から言うと、選ぶ軸は3つだけです。
先に結論:3つの軸で決まる
| 新ビオフェルミンS錠 | ビオスリーHi錠 | ミヤBM | |
|---|---|---|---|
| ビフィズス菌 | ⭕️ あり | ❌️ なし | ❌️ なし |
| 乳酸菌 | ⭕️ あり(2種) | ⭕️ あり | ❌️ なし |
| 酪酸菌 | ❌️ なし | ⭕️ あり | ⭕️ あり(宮入菌) |
| 糖化菌 | ❌️ なし | ⭕️ あり | ❌️ なし |
| 入手 | ドラッグストア | ドラッグストア | 処方箋が必要 |
| 分類 | 指定医薬部外品 | 指定医薬部外品 | 医療用医薬品 |
| 会社 | ビオフェルミン製薬(製造販売)/大正製薬(販売) | 東亜薬品工業(製造販売)/アリナミン製薬(販売) | ミヤリサン製薬 |
3つの軸とは、菌の種類・働く場所・買えるかどうかです。順に見ていきます。
その前に、この記事で最初にお伝えしたいことがあります。
配合量のmgで強さは比べられません
整腸剤のパッケージには「◯◯菌末 18mg」のように、菌の量が質量で書かれています。つい「数字が大きいほうが強い」と読みたくなります。
ですが、この数字で製品同士を比べることはできません。
理由は単純で、同じ1mgの中に菌が何個いるかが会社によってまったく違うからです。菌の種類が違えば1個あたりの大きさも違い、培養の仕方も、粉末にするときの増量剤の混ぜ方も各社バラバラです。表示の基準そのものが揃っていません。
薬剤師たけすたmgは「粉の重さ」であって「菌の数」ではありません。他社製品との比較には使えないと考えてください。
この記事でも数値をいくつか出しますが、あくまで同じ会社の製品どうしを見るときの目安として読んでください。会社をまたいだ強さ比べには使えません。
軸1:入っている菌が違う
まず大前提として、腸は一枚の管ではありません。小腸・大腸上部・大腸と場所が分かれていて、住んでいる菌の種類が場所ごとに違います。
だから「菌が入っていれば整う」わけではなく、どこで働く菌なのかが問題になります。
新ビオフェルミンS錠
ビフィズス菌(Bifidobacterium属)と、2種類の乳酸菌(フェーカリス菌・アシドフィルス菌)を組み合わせた設計です。製造販売はビオフェルミン製薬、販売は大正製薬が担っています。
出典:ビオフェルミン製薬 新ビオフェルミンS錠 製品情報, 2026年8月確認ここで、ひとつ整理しておきたいことがあります。
ビフィズス菌は、乳酸菌とは別の菌です
日常会話では「ビフィズス菌も乳酸菌の仲間」と語られがちですが、細菌の分類上は別のグループです。ビフィズス菌はアクチノバクテリア門、乳酸菌はファーミキューテス門に属します。門というのは生き物を大きく分ける単位で、動物でいえば人と昆虫ほど離れています。
出典:腸内細菌学会「ビフィズス菌と乳酸菌の違いを教えてください」, 2026年8月確認作る物質も違います。
| 乳酸菌 | ビフィズス菌 | |
|---|---|---|
| 作る酸 | 主に乳酸 | 乳酸に加えて酢酸 |
| 酸素 | あっても生きられるものが多い | 酸素があると育たない |
| 主な居場所 | 腸のほか発酵食品や自然界にも | 主にヒトや動物の腸 |
| 形 | 棒状か球状 | Y字やV字に枝分かれ |
この違いは、選ぶときに意味を持ちます。ビフィズス菌が作る酢酸は、乳酸菌が作らない物質だからです。
つまり新ビオフェルミンSは「乳酸菌が3種入った製品」ではなく、酢酸を作る菌(ビフィズス菌)と、乳酸を作る菌(乳酸菌2種)を組み合わせた製品、と読むのが正確です。
薬剤師たけすたビフィズス菌は主に大腸、乳酸菌2種は主に小腸に住みます。作る酸が違う菌を、住む場所を分けて入れている設計です。
古くから広く使われている整腸剤で、味も飲みやすく、家族で使いやすいのが強みです。なお年齢によって1回量が違うため、表示された用法用量を守ってください。
ビオスリーHi錠
こちらは乳酸菌に加えて、酪酸菌と糖化菌が入っています。製造販売は東亜薬品工業、販売はアリナミン製薬です。

酪酸菌(Clostridium butyricum)は、腸内細菌が作る有機酸(短鎖脂肪酸)のひとつである酪酸を作る菌です。この酪酸は大腸の粘膜のエネルギー源になるとされており、腸のバリア機能に関わる成分として研究が進んでいる分野です。
糖化菌は、乳酸菌が増えるのを助ける役割を担うとされています。つまり「菌を入れる」だけでなく「入れた菌が働きやすい環境をつくる」ところまで設計に入っている、というのがこの製品の考え方です。
効能としては、整腸(便通を整える)・便秘・軟便・腹部膨満感が認められています。5歳から服用できます。
出典:東亜薬品工業/アリナミン製薬 ビオスリーHi錠 製品情報, 2026年8月確認ミヤBM
酪酸菌ひと筋の製品です。配合されているのは宮入菌と呼ばれる酪酸菌の1種類だけで、乳酸菌もビフィズス菌も入っていません。
ミヤBMは病院で処方される医療用医薬品です。ドラッグストアで同じ名前の製品を探しても見つかりません。
軸2:宮入菌を市販で買うなら強ミヤリサン
「前に病院でミヤBMをもらって調子が良かったので、同じものが欲しい」
薬局でこれを言われる回数は、数えきれません。
先に書いたとおり、ミヤBMという名前の市販薬は存在しません。ではあきらめるしかないのかというと、そうではありません。宮入菌そのものは市販で買えます。
ケンジさんミヤBMと同じ菌が入った市販薬はありますか?
薬剤師たけすた強ミヤリサン錠が同じ宮入菌を使っています。ミヤBMと同じミヤリサン製薬の製品です。ただし1日に飲む量の設計が違うので、同じものとしては扱わないでください。
ミヤBMと強ミヤリサン錠は、どちらもミヤリサン製薬の製品です。作っている会社が同じで、使っている菌も同じ宮入菌。ここが、市販の他社製品に置き換える場合との決定的な違いです。
出典:ミヤリサン製薬 製品情報, 2026年8月確認ただし、同じ会社の同じ菌でも、1日に飲む量の設計は医療用と市販で違います。飲む量は必ず各製品の表示に従ってください。
サキさん同じ菌なら、市販のほうを多めに飲めば同じになりますか?
薬剤師たけすたそれはしないでください。市販薬は市販薬として1日量が決められています。自己判断で増やすのではなく、量の調整が必要なら医師か薬剤師に相談してください。
軸3:誰にどれが向くか
ここまでを踏まえて、選び方を整理します。
| こんな方 | 向くもの | 理由 |
|---|---|---|
| はじめて整腸剤を試す | ◎ 新ビオフェルミンS錠 | 入手しやすく家族で共有できる |
| 腸活として長く続けたい | ◎ ビオスリーHi錠 | 酪酸菌を市販で継続的に摂れる |
| 病院でミヤBMが合っていた | まず処方元へ相談 | 処方薬と市販薬は用法用量も位置づけも別のもの。切り替えの可否は医師か薬剤師へ |
| おなかの張りが主な悩み | ◯ ビオスリーHi錠 | 腹部膨満感が効能に含まれる |
| 酢酸を作る菌を摂りたい | ◎ 新ビオフェルミンS錠 | 3製品の中でビフィズス菌が入るのはこれだけ |
実際の製品

ビオスリー Hi 錠
乳酸菌・酪酸菌・糖化菌の3種を組み合わせた指定医薬部外品
小腸から大腸まで、働く場所の違う3種類の菌を1製剤にまとめた指定医薬部外品です。酪酸菌を市販品で毎日続けたい方の第一候補。5歳から服用できるので家族で共有しやすいのも利点です。製造販売は東亜薬品工業、販売はアリナミン製薬。
※本記事はアフィリエイトリンクを含みます。商品紹介は薬剤師としての個人的見解であり、効果・効能を保証するものではありません。 既往症・服薬中の方は必ず主治医・薬剤師にご相談ください。

新ビオフェルミンS錠
酢酸を作るビフィズス菌と、乳酸を作る乳酸菌2種の組み合わせ
古くから広く使われている整腸剤です。ビフィズス菌は主に大腸、乳酸菌2種は主に小腸と、住む場所を分けて配合されています。まず整腸剤を試してみたい方、飲みやすさを重視する方に。製造販売はビオフェルミン製薬、販売は大正製薬。
※本記事はアフィリエイトリンクを含みます。商品紹介は薬剤師としての個人的見解であり、効果・効能を保証するものではありません。 既往症・服薬中の方は必ず主治医・薬剤師にご相談ください。

強ミヤリサン錠
ミヤBMと同じミヤリサン製薬の宮入菌(酪酸菌)を市販で
病院で処方されるミヤBMと同じ会社の、同じ宮入菌を使った市販の整腸薬です。酪酸菌だけに絞った設計。ミヤBMを飲んだことがあり、市販で近いものを探している方に。1日量の設計は医療用と異なります。処方薬を服用中の方は、切り替えの可否を必ず医師か薬剤師にご相談ください。
※本記事はアフィリエイトリンクを含みます。商品紹介は薬剤師としての個人的見解であり、効果・効能を保証するものではありません。 既往症・服薬中の方は必ず主治医・薬剤師にご相談ください。
私自身は、10年ビオスリーを続けています。酪酸菌を配合した市販品はこの記事で挙げた強ミヤリサン錠など数が限られていて、その中で剤形と続けやすさが自分に合っていたからです。
ぬか漬けを毎日漬けられる人なら食品から摂る手もありますが、正直に言うと私は続きませんでした。続かない前提で仕組みを組むほうが、結局は長持ちします。
「飲んでいるのに手応えがない」とき
薬局で受ける相談で多いのが、これです。整腸剤は続けている、でもお腹の調子は戻らない。
このとき私が最初に確認するのは、飲んでいる量でも続けている期間でもありません。その製品に、どの菌が入っているかです。
乳酸菌とビフィズス菌は摂れているけれど、酪酸菌は入っていない。この組み合わせは珍しくありません。ここまで見てきたとおり、菌は種類ごとに住む場所も、作る酸も違います。足りていない種類があるなら、量を増やしても期間を延ばしても、その部分は埋まらないままです。
薬剤師たけすた乳酸菌は腸内環境を整える基本の善玉菌です。ただ大事なのは全体のバランスで、特に大腸で働く酪酸菌を補える市販の整腸剤は限られています。
長く飲んでいるのに手応えがないときは、続け方を変える前に「何が入っていないか」を確かめてみてください。自分に足りていない菌を知ることは、整腸剤選びのひとつの手がかりになります。
よくある質問
サキさん飲んですぐ変化を感じないと、意味がないですか?
薬剤師たけすたすぐには分かりにくいのが普通です。腸内の菌のバランス(腸内フローラ)は日単位では動きにくいので、まずは数週間から数ヶ月の単位で見てください。
ケンジさんヨーグルトを食べていれば、整腸剤はいりませんか?
薬剤師たけすたどちらが上ということはなく、狙いが違います。食品は続けやすさ、整腸剤は菌の種類と量が決まっていることが強みです。私は食事を土台にして、足りない菌を整腸剤で補う形にしています。
サキさん複数の整腸剤を同時に飲んでもいいですか?
薬剤師たけすた基本的にはひとつに絞ってください。同時に始めると、合わなかったときにどれが原因か分からなくなります。試すなら1種類ずつ、期間を区切って。
まとめ
整腸剤は「どれも同じ」ではなく、入っている菌と、その菌が働く場所が違います。
選ぶときに見るのは商品名ではなく、どの菌が入っているか、そして自分が続けられる形かどうかです。
菌は名前が似ていても働きが違います。乳酸を作る乳酸菌、酢酸も作るビフィズス菌、酪酸を作る酪酸菌。この3つを分けて見られるようになると、棚の前で迷う時間はかなり減るはずです。
なお、パッケージのmgの数字で製品どうしを比べようとしないでください。冒頭に書いたとおり、それは菌の数を表していません。
合わないと感じたら、無理に飲み続けず切り替えて構いません。整腸剤は相性が出るもので、同じものが全員に合うわけではないからです。



