· 薬剤師たけすた · 健康 · 21 min read
子どもの便秘にどう向き合うか|薬剤師が家庭でできることを整理
トイレで泣く。何日も出ない。出たと思ったら硬くて痛そう。子どもの便秘は、親のほうが不安になります。家庭でできることと、早めに小児科へ行く目安を分けて整理しました。

もう3日も出ていない。やっと出たと思ったら、硬くて痛かったのか泣いてしまった。それからトイレに誘っても「行かない」と逃げてしまう。
大人の便秘なら様子を見られても、子どもとなると話は別です。小児科に連れて行くほどなのか、家で何とかできるのか。その線引きが分からなくて、不安になる方は多いと思います。
サキさんうちの子、うんちの時に痛がって泣くんです。病院に行ったほうがいいのか、もう少し様子を見ていいのか分からなくて。
薬剤師たけすた迷うのは当然のことです。まず下の表で、すぐ受診したいサインや早めに相談したいサインがあるかを確かめて、どちらもなければ家庭でできることから始める。この順番で考えると落ち着いて判断できます。
先に結論を書きます。下の表の「すぐ受診」に1つでも当てはまれば、家庭での工夫より先に小児科へ。「数日以内に相談」に当てはまれば、家庭で工夫しながら近いうちに小児科で相談を。どちらにも当てはまらなければ、食事・水分・トイレの習慣を整えて様子を見て、変わらない時や迷う時は早めに相談する、という順番です。
最初に確かめたい「受診の目安」
子どもの便秘の多くは、病気が隠れていない「機能性便秘」とされています(日本小児栄養消化器肝臓学会・日本小児消化管機能研究会のガイドライン、2013年)。ただし中には、早めに診てもらいたい病気のサインが混ざっていることがあります。
小児の便秘のガイドラインでは、こうした注意すべきサインを「警告徴候」としてまとめています。家庭で気づけるものを中心に、3段に分けて整理しました。

| 目安 | こんな様子があれば |
|---|---|
| すぐ受診 | 吐くことを繰り返す お腹がパンパンに張って痛がる 便に血が混じる・黒い便が出る ぐったりしている・熱がある 足の動きや歩き方がいつもと違う |
| 数日以内に相談 | 生まれてすぐのころから便秘が続いている 体重が増えない・減ってきた 便秘が1か月以上続いている 下着に便がついていることが増えた 排便のたびに強く痛がり、トイレを怖がる |
| 家庭で様子見 | 上のどれにも当てはまらない 機嫌がよく、食欲もある 数日出ないことがあっても、出れば落ち着く |
⚠️ 生後間もない赤ちゃんで便が出ない・お腹が張る・吐く時は、様子を見ずに小児科へ相談してください。 月齢が小さいほど、家庭で判断できる範囲は狭くなります。
「下着に便がつく」は見落としやすいサイン
意外に思われるかもしれませんが、便秘が長引くと、下着に少しずつ便がつくことがあります。
腸の出口近くに硬い便が詰まり、その脇からやわらかい便がもれ出てくるためです。「下痢っぽいのかな」「拭き方が雑なのかな」と思われがちですが、便秘が進んでいるサインのことがあります。
薬剤師たけすたここは叱らないであげてほしいところです。本人もコントロールできずに困っていることが多いので、気づいたら小児科で相談してください。
子どもの便秘は「我慢」から悪循環になりやすい
大人の便秘は食物繊維や水分の不足から始まることが多いのですが、子どもの場合はそこにもう1つ、大きな要素が加わります。痛い思いをした記憶から、便を我慢してしまうことです。

流れを順番に書くと、こうなります。
- 硬い便を出す時に痛い思いをする
- 「また痛いかも」と思い、便意があっても我慢する
- 腸の中に便がたまり、水分が吸われてさらに硬く大きくなる
- 次の排便がもっと痛くなり、さらに我慢する
この輪がいったん回り始めると、食事を変えるだけでは抜け出しにくくなります。トイレに誘うと逃げる、足をクロスさせてもじもじする、部屋の隅で立ったまま固まる。こうした様子は、便を我慢しているサインのことがあります。
ケンジさんうちの子もトイレに誘うと嫌がって、隠れて我慢してるみたいなんです。
薬剤師たけすた痛くて怖い、という気持ちが先に立っている状態だと思います。まず「出しても痛くない」経験を積み直すことが大切で、そのために小児科で便をやわらかくする薬を使うこともあります。
便秘になりやすいタイミング
子どもの便秘は、生活が変わる時期に始まりやすいとされています。
- 離乳食が始まった時期、母乳やミルクから食事に移る時期
- トイレトレーニングの時期
- 保育園や幼稚園、小学校に入った時期(学校のトイレを我慢しがち)
- 旅行や引っ越し、きょうだいが生まれた時など、生活のリズムが変わった時
思い当たる時期があれば、それ自体がヒントになります。受診する時も、いつから始まったかを伝えると話がスムーズです。
家庭でできること|トイレ・水分・食事を中心に
受診の目安に当てはまらなければ、まずは家庭で土台を整えます。中心になるのはトイレの習慣・水分・食事の3つで、足の置き場や体を動かす時間も助けになります。下の表は、トイレに座れる年齢のお子さんの目安です。離乳食が始まる前の赤ちゃんは、水分や食事を自分の判断で変える前に、小児科や乳児健診で相談してください。
| 優先度 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| ◎ | 食後にトイレに座る時間 | 朝食や夕食の後に5分ほど 出なくても座れたらほめる |
| ◎ | 足の置き場をつくる | 足が床につかない時は踏み台を置く ひざが少し上がり、いきみやすくなる |
| ◯ | 水分をこまめに | 食事の時と、遊んだ後に1杯ずつ 甘い飲み物より水か麦茶 |
| ◯ | 食物繊維のある食事 | ごはん・野菜・豆・海藻・きのこを少しずつ 苦手な物を無理に増やさない |
| ◯ | 体を動かす時間 | 外遊びや散歩など、楽しくできる範囲で |
トイレの習慣は「怖くない」を優先する
食後は、胃に食べ物が入った刺激で大腸が動きやすくなるタイミングです(胃結腸反射)。このタイミングに合わせて、トイレに座る時間をつくります。
出なくても叱らない。座れただけでほめる。カレンダーにシールを貼るなど、楽しく続けられる工夫も役に立ちます。我慢の悪循環から抜け出すには、トイレが「痛くて嫌な場所」から「座っても大丈夫な場所」に変わっていくことが大事です。
食事は「材料」を少しずつ
便の材料になるのは、食物繊維と水分です。ごはん、野菜、豆、海藻、きのこなどを、普段の食事の中に少しずつ混ぜていきます。
食物繊維の働きの違いは水溶性と不溶性の違いの記事にまとめています。ただし子どもの場合、急に量を増やすとお腹が張って食事そのものを嫌がることがあります。食べられる物の中から、少しずつ足すくらいがちょうどいいと思います。
薬剤師たけすた牛乳をたくさん飲んでいるお子さんは、その量も受診の時に伝えてください。飲む量が多いと食事が入らなくなり、便秘につながることがあるとされています。
薬局でよく聞かれること
薬剤師たけすた薬局では「何を食べたらいいですか」とよく聞かれます。子どもの場合は、何を足すかより先に、トイレが怖い場所になっていないかを見てあげてほしいと思っています。
食物繊維のサプリを子どもに使う時は、量によってはお腹が張ったり、ゆるくなったりすることがあります。必ず小児用の製品を使用してください。もしくは医師、薬剤師にご相談ください。
薬剤師たけすた私自身、腸活は「絶対やる」ではなく「できるだけやる」くらいの気持ちで続けています。子どもの食事やトイレも、完璧を目指さず、迷ったら小児科や薬局で聞いてしまうくらいでいいと思います。
市販薬を使う前に知っておきたいこと
家庭での工夫を続けても出ない時、市販の便秘薬や浣腸を考える方もいると思います。
大人用の便秘薬を、量を減らして子どもに使うのは避けてください。必ず小児用の製品を使用してください。もしくは医師、薬剤師にご相談ください。
浣腸も、繰り返し使うようになる前に小児科で相談するのがおすすめです。浣腸で出せたとしても、我慢の悪循環そのものはそのままのことが多いからです。
サキさん病院に行ったら、どんなことをするんですか?
薬剤師たけすたまずお腹の様子や排便の状況を確かめて、必要なら便をやわらかくする薬が出ます。たまっている便があれば、先にそれを出してから、毎日出る状態を続けていく流れが一般的です。
大人向けの市販薬の違いは市販の下剤の使い分けの記事で整理しています。子どもに使う場合は、ここに書いた注意が先です。
受診の時に伝えるとよいこと
- いつから便秘が続いているか(きっかけになった出来事があれば)
- 何日に1回くらい出ているか、便の硬さや太さ
- 排便の時に痛がるか、我慢している様子があるか
- 下着に便がつくことがあるか
- 食事・水分・牛乳の量のだいたいの目安
- これまでに使った薬や浣腸
スマホのメモに日付と便の様子を残しておくだけでも、診察の時に役立ちます。
よくある質問
サキさん何日出なかったら便秘と考えればいいですか?
薬剤師たけすた日数も目安の1つです。それに加えて、痛がる・硬い・我慢しているかも合わせて見てください。国際的な基準(Rome IV、Gastroenterology誌, 2016年)では、4歳以上の子どもについて、週2回以下の排便、痛みを伴う硬い便、便を我慢するしぐさなどのうち2つ以上が1か月続くことを目安にしています。
ケンジさんヨーグルトを毎日食べさせれば大丈夫ですか?
薬剤師たけすた好きで食べられるなら、続けてかまいません。それに加えて、食物繊維と水分、トイレの習慣も一緒に整えていくと土台がしっかりします。
サキさん便をやわらかくする薬を使い始めたら、ずっと飲み続けることになりませんか?
薬剤師たけすた量や期間は医師がお子さんに合わせて決めます。自己判断で急にやめると悪循環に戻ることがあるので、減らし方も含めて相談しながら進めてください。
ケンジさん整腸剤を子どもに飲ませてもいいですか?
薬剤師たけすた使う場合は、必ず小児用の製品を使用してください。もしくは医師、薬剤師にご相談ください。年齢によって使える製品と量が変わります。
まとめ
- まず受診の目安の表を確かめる。「すぐ受診」に1つでもあれば小児科へ、「数日以内に相談」に当てはまれば近いうちに相談
- 子どもの便秘は、痛い記憶から我慢する悪循環になりやすい
- 下着に便がつくのは、便秘が進んでいるサインのことがある
- 家庭では、食後のトイレ・足の置き場・水分・食事の順に整える
- 家庭で続けても変わらない時、1か月以上続く時、迷う時は早めに相談する
- 市販薬は大人用を分けて使わない。必ず小児用の製品を使用してください。もしくは医師、薬剤師にご相談ください
便秘は、子ども本人も親もつらいものです。家庭でできることをやりながら、迷ったら早めに相談する。その両方を持っておくと、気持ちが少し楽になると思います。



