· 薬剤師たけすた · 健康 · 25 min read
オメガ3の選び方|薬剤師が酸化と含有量で見るポイント
「EPA・DHA1000mg配合」と書かれた棚の前で迷ったとき、薬剤師が見ているのは2か所だけです。1粒にEPAとDHAが何mg入っているか。そして、酸化への手当てがされているか。

オメガ3、EPA、DHA、フィッシュオイル、亜麻仁油、えごま油。棚に並んでいる名前はどれも似ていて、値段だけが何倍も開いている。裏面を見ても細かい字が並んでいるだけで、結局いちばん大きい数字が書かれたものを選んでしまう——。
サキさん「EPA・DHA1000mg配合」って書いてあれば、その1000mgがそのまま摂れる量ですよね?
薬剤師たけすたそう読める書き方が多いですね。それに加えて、その1000mgが「魚の油そのものの量」なのか「EPAとDHAを合計した量」なのかで、中身が3倍ちがうことがあります。
オメガ3は、サプリの中でも「買ったあとに中身が変わっていく」めずらしい成分です。だから見る順番を決めておくと迷いません。
1粒のEPA+DHA量 → 酸化への手当て → 続けやすさ。この順で見ると1本に絞れます——これが今日の結論です。
パッケージの「1000mg」はどこの数字か
まず、いちばん間違えやすいところから共有させてください。表面の数字は、3通りの意味で使われています。
| 表示の例 | 数えているもの | 実際に摂れるEPA+DHA |
|---|---|---|
| 魚油1000mg配合 | カプセルに入っている油の量 | 一般的な製品なら300mg前後のものが多い |
| EPA+DHA1000mg配合 | 目的の成分そのものの合計 | 表示どおり1000mg |
| オメガ3 1000mg配合 | n-3系脂肪酸の合計 | α-リノレン酸が大半のこともある |
一般的な魚油のサプリでは、魚油1000mgあたりEPA 180mg・DHA 120mg、合わせて全体の3割前後のものが多く見られます(製品によって異なります)。つまり同じ「1000mg」でも、実際に摂れる量は3倍ちがう可能性があります。
出典:米国国立衛生研究所(NIH)栄養補助食品局「Omega-3 Fatty Acids Fact Sheet for Health Professionals」(2026年10月時点の公開版)
3つ目にも注意が必要です。α-リノレン酸(亜麻仁油・えごま油に多い植物性のオメガ3)も、体の中でEPAとDHAに変わります。ただし、その変換の割合は高くなく、特にDHAへはごくわずかで、男女でも差があると報告されています。
出典:Burdge GC, Calder PC. Reproduction Nutrition Development, 2005年

薬剤師たけすた裏面の表示(栄養成分表示や、その近くの欄)に、1日分あたりのEPA量とDHA量が別々に書いてあるかを見てください。どこにも書いていない製品は、中身を比べる材料が足りないので、候補から外して構いません。
1日にどれくらいを目安にするか
成人では、EPAとDHAを合わせて1日250mgが目安のひとつとして示されています。
出典:欧州食品安全機関(EFSA)Scientific Opinion on Dietary Reference Values for fats, 2010年
日本の基準にもn-3系脂肪酸の目安量があり、年齢と性別ごとに値が決められています。自分の欄を一度確認しておくと、足す量の見当がつきます。
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」2025年版
EPAとDHA、どちらを多く見るか
「EPAが多いほうがいいのか、DHAが多いほうがいいのか」も迷いやすいところです。結論から言うと、どちらかに絞る必要はありません。両方入っているものを選べば十分です。
その上で、性格の違いを知っておくと納得して選べます。
| EPA | DHA | |
|---|---|---|
| 正式名 | エイコサペンタエン酸 | ドコサヘキサエン酸 |
| 二重結合の数 | 5個 | 6個 |
| 体の中で多い場所 | 血液 | 脳 網膜 |
| 医療の場での扱い | EPA単体の医療用医薬品がある | EPAとの配合カプセルがある |
EPAとDHAは、体の中で多くある場所が違う脂肪酸です。名前は似ていますが、それぞれ別の役割を持っています。
日本には、EPAを主成分とする医療用医薬品と、EPAとDHAを配合した医療用医薬品があります。どちらも医師が診断した上で処方するもので、サプリとは目的も濃度も別のものです。サプリは、あくまで食事で足りない分を補う位置づけになります。
ケンジさんそれなら、比率が書いてある製品を選んだほうがいいんでしょうか。
薬剤師たけすた比率を見るのも一つの方法です。それに加えて、まずEPAとDHAを足していくつになるかを見て、そのあとで価格を割り算してください。
オメガ3がいちばん弱いのは「酸化」
ここからが、この記事でいちばん伝えたい部分です。
EPAとDHAは、分子の中に二重結合という「折れ曲がった箇所」をたくさん持っています。上の表のとおりEPAで5個、DHAで6個。この箇所は酸素と反応しやすく、二重結合が多い油ほど傷みやすいという性質があります。サラダ油よりも魚の油のほうが早くにおうのは、このためです。
つまりオメガ3は、買った時点の品質と、飲む時点の品質が同じとは限りません。

酸化の程度は数値で表せる
油の傷み具合には、業界で共通して使われている指標があります。買う側にとっては「メーカーがこの数値を公表しているかどうか」がひとつの判断材料になります。
| 指標 | 見ているもの | 上限の目安 |
|---|---|---|
| 過酸化物価(PV) | 酸化の初期にできる物質の量 | 5以下 |
| アニシジン価(AV) | 酸化が進んでからできる物質の量 | 20以下 |
| TOTOX | 上の2つを合わせた総合点 | 26以下 |
この3つの上限は、世界のEPA・DHA関連企業でつくる団体が自主基準としてまとめているものです。
出典:GOED(Global Organization for EPA and DHA Omega-3s)「Voluntary Monograph」の酸化の上限値(2026年10月時点の公開版)
数字そのものを覚える必要はありません。「検査した数値を公表している会社かどうか」だけ見れば十分です。
売り場で確認できる3つのサイン
検査値を公表していない製品も多いので、店頭で見られる代わりの目印を挙げます。
- ✅ 第三者機関の認証マーク(フィッシュオイル専門のIFOSなど)が箱に書かれている
- ✅ 原材料に「ビタミンE」「トコフェロール」が入っている(油の酸化を抑える目的で加えられることが多い)
- ✅ 遮光性のボトル、または1粒ずつのアルミ個包装になっている
反対に、透明なボトルで店頭の照明の下に長く置かれているものは、条件としては不利です。
ケンジさん飲んだあとのげっぷが魚くさいのは、体質ですか?
薬剤師たけすた体質のこともありますが、油が傷みはじめているサインのこともあります。開けたてで気にならなかったものが途中からにおい出したら、保管場所を見直してみてください。
形と原料の違い——同じEPA・DHAでも5つのタイプがある
もうひとつ、値段の差につながっているのが「形」です。原料の魚から取り出したあと、どう加工しているかの違いになります。
| タイプ | 濃度 | 特徴 |
|---|---|---|
| TG型(トリグリセリド型) | 低〜中 | 魚の中にあるままの形。粒数は多くなりがち |
| rTG型(再エステル化) | 高 | 濃縮したあと元の形に戻したもの。価格は高め |
| EE型(エチルエステル型) | 高 | 濃縮しやすく価格を抑えやすい。高濃度品に多い |
| クリルオイル | 低 | オキアミ由来。1粒あたりの量は少なめ |
| 藻由来オイル | 中 | 魚を使わない。魚が苦手な方の選択肢 |
吸収のされ方については、TG型やrTG型のほうがEE型より血液中の濃度が上がりやすかったという報告があります。
出典:Dyerberg J ほか, Prostaglandins Leukotrienes and Essential Fatty Acids, 2010年
ただし、この差だけで価格が倍ちがう製品を選ぶ必要はありません。EE型でも、1日に摂れるEPA+DHAの量が確保できていて、酸化への手当てがされていれば十分な選択肢になります。
サキさん魚が苦手で、フィッシュオイルのにおいがどうしてもだめなんです。
薬剤師たけすた藻由来のオイルという選択肢があります。魚のEPA・DHAはもともと藻から食物連鎖で移ったものなので、藻から直接摂るのは理にかなっています。価格は高めです。
魚から摂れているなら、それがいちばん
サプリの話をしてきましたが、順番としては食事が先です。
さば・いわし・さんまなどの脂ののった青魚は、1食(約100g)でEPAとDHAを合わせて1g以上摂れるものが多くあります。
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」の可食部100gあたりの値から換算
つまり、青魚をふだんからよく食べている方は、その時点でかなり摂れていることになります。缶詰なら汁にも脂が溶け出しているので、汁ごと使うと無駄がありません。
| 食べ方 | 薬剤師のひとこと |
|---|---|
| さばの水煮缶 | ◎ 汁ごと味噌汁やスープへ。手間がいちばん少ない |
| いわし・さんまの塩焼き | ◎ 焼くと脂が少し落ちるが、それでも1尾で十分な量が残る |
| 刺身 | ◯ 加熱しないぶん油の状態はよい。価格は上がる |
| まぐろの赤身 | △ 同じ魚でも脂の少ない部位はEPA・DHAが少ない |
妊娠中の方が魚を選ぶとき
妊娠中は、魚の種類によって食べる量の目安が示されています。大型の魚に水銀が蓄積しやすいためで、いわし・さば・さんまなどの小型から中型の魚は対象外です。
出典:厚生労働省「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」2010年改訂
サプリを使う場合も、妊娠中・授乳中の方は主治医に一度確認してから始めてください。
買ったあとが本番——保管でここまで変わる
オメガ3は、封を開けた日から傷みが進みます。ここは自分でコントロールできる部分なので、いちばん実利があります。
酸化を進める要因は3つです。光、熱、空気。この3つから遠ざけるだけで、飲み終わるまでの状態が変わります。

| 要因 | やってしまいがちな置き場所 | 切り替え先 |
|---|---|---|
| 光 | キッチンの出窓、透明な小分けケース | 戸棚の中か、遮光ボトルのまま |
| 熱 | コンロの近く、車の中、夏の室内 | 開封後は冷蔵庫のドアポケット |
| 空気 | ふたを開けたまま出しっぱなし | 毎回すぐ閉める。個包装なら都度開ける |
液体タイプ(スプーンで飲むオイル)は、開封後に空気と触れる面積が大きいので、早めに使い切れる容量を買うほうが結果的に無駄がありません。大容量の特売品は、飲みきれる量かどうかを先に計算してみてください。
薬剤師たけすた夏場の車のダッシュボードは、光と熱が重なるので、オメガ3にとっていちばん厳しい置き場所です。ここに置いている方は、そこだけでも変えてください。
飲むタイミングは食事と一緒が基本です。油に溶ける成分なので、食事の脂と一緒のほうが吸収されやすくなります。空腹時に飲むと、においが上がってきやすいという方もいます。
私自身の付き合い方
私が自分で飲んでいるフィッシュオイルは、フィッシュオイル専門の第三者認証であるIFOSで5つ星を取得しています。純度・酸化度・EPA/DHA量を、メーカーとは別の機関が検査しています。
この記事で書いてきた見方(含有量→酸化への手当て→続けられる価格)は、どの製品にも同じように当てはめられます。参考までに、その製品を載せておきます。

Sports Research トリプルストレングス フィッシュオイル
IFOS5つ星|酸化度まで独立検査されている
フィッシュオイル専門認証IFOSで5つ星を取得している製品です。重金属・PCB・酸化度・EPA/DHA量を、メーカーとは別の機関が検査しています。1粒あたりのEPA+DHAが多めなので、少ない粒数で済みます。iHerbで購入できます。
※本記事はアフィリエイトリンクを含みます。商品紹介は薬剤師としての個人的見解であり、効果・効能を保証するものではありません。 既往症・服薬中の方は必ず主治医・薬剤師にご相談ください。
選び方の全体像は 海外サプリの選び方|薬剤師が8年以上使い続けるALIVEとSports Research にまとめています。
始める前に確認したい方
オメガ3は食品ですが、量が多くなると、飲んでいる薬との組み合わせなどで注意が必要になる場合があります。次に当てはまる方は、自己判断で始める前に主治医か薬剤師に声をかけてください。
- ⚠️ 血液をさらさらにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬)を飲んでいる方。高用量では出血傾向に注意が必要とされています
- ⚠️ 手術や抜歯の予定がある方。事前に中止を指示されることがあります
- ⚠️ 魚・甲殻類にアレルギーのある方。クリルオイルはオキアミ由来です
- ⚠️ 妊娠中・授乳中の方
お子さんに使う場合
大人用のカプセルを割って中身を飲ませる、という使い方はしないでください。お子さんにオメガ3のサプリを使うかどうかは、まず食事(青魚)で足りているかを見たうえで、始める前に医師か薬剤師に相談してください。使う場合は、必ず小児用の製品を使用してください。
よくある質問
サキさん安いフィッシュオイルと高いフィッシュオイル、何がちがうんですか?
薬剤師たけすた多くの場合、1粒あたりのEPA+DHA量と、酸化を抑える工程の手間です。1日分の価格に割り戻すと差が小さくなることもあるので、粒数まで含めて計算してみてください。
ケンジさん亜麻仁油やえごま油でも代わりになりますか?
薬剤師たけすた同じオメガ3の仲間として使えます。ただ、EPAやDHAに変わる割合は高くないため、魚を減らした分をそのまま置き換える計算にはなりにくいです。両方を使い分けるのが現実的です。
サキさんカプセルを冷凍庫に入れるとげっぷが減ると聞きました。
薬剤師たけすた試している方は多いです。冷やすと溶けるまでの時間が変わるためと説明されますが、確かめた研究は多くありません。まずは食事と一緒に飲む、開封後は冷蔵庫、の2つから試してください。
ケンジさんマルチビタミンと一緒に飲んでも大丈夫ですか?
薬剤師たけすた多くの場合、一緒に飲んでかまいません。食事と一緒のタイミングでまとめたほうが続きます。重なりが気になるのはビタミンEくらいなので、両方の表示を一度見比べておくと安心です。薬を飲んでいる方は、始める前に薬剤師に伝えてください。
サキさんどれくらい続ければいいですか?
薬剤師たけすた期間の決まりはありません。青魚を食べる日が増えたら減らす、というように、ふだんの食事に合わせて見直してください。体調で気になることがあるときは、サプリで様子を見るより先に、医師か薬剤師に相談してください。
まとめ
- 表面の「1000mg」は、魚油の量かEPA+DHAの合計量かで、中身が大きくちがうことがある。裏面の表示でEPA量とDHA量を見る
- EPAとDHAは役割が少し違うが、比率で悩むより合計量で選べば十分
- オメガ3の弱点は酸化。PV・AV・TOTOXを公表している会社か、第三者認証があるかを目印にする
- 形(TG型・rTG型・EE型・クリル・藻由来)は価格差の理由。EE型でも量と品質が確保できていれば選択肢になる
- 青魚をよく食べているなら、サプリは無理に足さなくてよい
- 開封後は光・熱・空気を避ける。冷蔵庫のドアポケットが現実的な置き場所
オメガ3は「買って終わり」ではなく、置き場所まで含めて選ぶ成分です。パッケージの数字を1回だけ確認して、あとは戸棚の中に定位置を作る。今日できるのはそれくらいで、それで十分だと思っています。



