· 薬剤師たけすた · 健康  · 19 min read

サプリの飲み合わせ|薬剤師が現場で必ず確認すること

病院の薬を飲んでいるけれど、サプリも足していいのか分からない。薬とサプリが重なると何が起きうるのか、薬剤師が相談の場で確認していること、自己判断で足さない線引きを整理しました。

病院の薬を飲んでいるけれど、サプリも足していいのか分からない。薬とサプリが重なると何が起きうるのか、薬剤師が相談の場で確認していること、自己判断で足さない線引きを整理しました。

病院で毎日の薬をもらっている。でも最近疲れやすいので、ビタミンやミネラルのサプリも足してみたい。食品だから大丈夫だろうと思いつつ、薬と一緒に飲んでいいのか、少し引っかかっている。そんな方に向けて書きました。

サキさん サキさん

サプリって食品ですよね?病院の薬と一緒に飲んでも、たぶん問題ないと思っているんですが……。

薬剤師たけすた 薬剤師たけすた

食品なので、多くの組み合わせは問題になりません。ただ、成分によっては薬の働きを弱めたり、強めすぎたりするものもあります。どれに当たるかを先に確かめておくと安心です。

結論を先にお伝えします。

毎日飲んでいる薬がある人は、サプリを足す前に医師か薬剤師に一声かける。これが自己判断で足さないための線引きです。

この記事では、飲み合わせで起きうること、相談の場で薬剤師が確認していること、注意が必要な代表的な組み合わせを順に整理します。


「このサプリ、今の薬と一緒で大丈夫?」はよくある相談

「このサプリ、今の薬と一緒に飲んでも大丈夫?」は、薬とサプリを両方使う方なら一度は気になる疑問です。聞いてくださる方は、実はまだ安心なほうです。

気になるのは、聞かずに足している方です。サプリは薬局以外でも買えるので、薬剤師が知らないまま組み合わせが増えていきます。

私自身もサプリを使っています。海外のマルチビタミンは含有量が多めなので、全量を飲むと摂りすぎになる成分がないよう、半分に割って飲んでいます。

薬剤師たけすた 薬剤師たけすた

食品だから安心、と感じるのは自然なことです。そのうえで、薬を飲んでいる方には「足す前に一声」をお願いしています。


薬とサプリが重なると起きうる3つのこと

飲み合わせの問題(相互作用)は、大きく分けると3つの形があります。仕組みが分かると、どこに気をつければいいかが見えてきます。

薬とサプリの飲み合わせで起きうる3つのパターン(働きが弱まる・強く出すぎる・吸収されにくくなる)

1. 薬の働きが弱まる

体には、薬を分解して外に出す仕組み(薬物代謝酵素)があります。ある成分がこの仕組みを活発にすると、薬が早く分解され、働きが弱まることがあります。

もう一つは、薬と逆向きに働く成分です。血液を固まりにくくする薬(ワルファリン)は、ビタミンKの働きを抑えて作用します。そこにビタミンKを多く摂ると、薬の働きが弱まります。

2. 薬の働きが強く出すぎる

薬と同じ方向に働く成分を足すと、作用が上乗せされます(相加作用)。血液を固まりにくくする薬に、同じ方向の成分が重なると、出血しやすくなるおそれがあります。

同じ成分が二重に入るケースもあります。漢方薬と、のど飴や健康食品の両方に甘草が入っている、といった重なりです。

3. 薬が吸収されにくくなる

カルシウムや鉄などのミネラルは、一部の薬と腸の中でくっつきます(キレート形成)。くっついた薬は吸収されにくくなり、十分に働けなくなります。

この3つ目は、飲む時間をずらすことで避けられる場合があります。1つ目と2つ目は、時間をずらしても避けられないことが多い点が違います。


薬剤師が相談の場で確認する5つのこと

サプリの相談を受けたとき、薬剤師が確認するのは主に次の5つです。どれか1つでも欠けると、飲み合わせの判断ができません。

薬剤師がサプリの相談で確認する5つのチェック項目

  1. 今飲んでいる薬(処方薬と市販薬の両方。お薬手帳があれば確実)
  2. サプリの成分表示(商品名だけでは中身が分からない)
  3. 1日に摂る量と、ほかのサプリとの成分の重なり
  4. 持病・妊娠や授乳・手術や抜歯の予定
  5. そのサプリで何をしたいのか

2つ目は特に大切です。同じ名前のシリーズでも、配合が違う商品があります。相談するときは、商品そのものか、成分表示の写真を見せてもらえると確認が早く済みます。

5つ目を聞くのは、サプリを足さなくても済む場合があるからです。食事の見直しで足りる場合や、先に受診したほうがよい場合もあります。

サキさん サキさん

お薬手帳って、サプリのことも書いていいんですか?

薬剤師たけすた 薬剤師たけすた

書いて大丈夫です。手帳のメモ欄に、商品名と飲んでいる量を書いておくと、どの薬局でも同じ確認ができます。


注意が必要な代表的な組み合わせ

すべてを覚える必要はありません。「こういう組み合わせがある」と知っておくだけで、相談するきっかけになります。

サプリ・食品の成分重なると心配な薬起こりうること
ビタミンK
(青汁・クロレラ・納豆)
ワルファリン薬の働きが弱まる
セイヨウオトギリソウ
(セント・ジョーンズ・ワート)
強心薬(ジゴキシン)
免疫抑制薬(シクロスポリン)
気管支拡張薬(テオフィリン)
ワルファリン
経口避妊薬
薬の働きが弱まる
カルシウム
マグネシウム
鉄
亜鉛
一部の抗菌薬
(ニューキノロン系)
(テトラサイクリン系)
薬が吸収されにくくなる
EPA
(魚の油)
血液を固まりにくくする薬
血小板の働きを抑える薬
出血しやすくなるおそれ
カルシウム骨の薬
(活性型ビタミンD製剤)
血液中のカルシウムが高くなりすぎるおそれ
甘草
(グリチルリチン酸)
甘草を含む漢方薬同じ成分が重なり、むくみや血圧の上昇、手足の力が入りにくい症状(偽アルドステロン症)が出るおそれ
出典:医薬品医療機器総合機構(PMDA)「患者向医薬品ガイド ワルファリンカリウム錠」/厚生省医薬安全局「セイヨウオトギリソウ含有食品と医薬品の相互作用」2000年5月/MSDマニュアル プロフェッショナル版「テトラサイクリン系」「フルオロキノロン系」/イコサペント酸エチル製剤(医療用EPA製剤)添付文書 併用注意/PMDA「医薬品適正使用のお願い No.13 エルデカルシトールによる高カルシウム血症」2020年10月/厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 偽アルドステロン症」

EPAの行は、医療用のEPA製剤の添付文書で注意が求められている組み合わせです。サプリの魚の油でどこまで同じことが起きるかは、はっきりしていません。だからこそ、血液を固まりにくくする薬を飲んでいる方は、足す前に相談してください。

甘草は、のど飴や健康食品に入っていることがあり、見落としやすい成分です。漢方薬を飲んでいる方は、原材料表示に「甘草」「カンゾウ」がないかも見てください。

ケンジさん ケンジさん

青汁は体によさそうなので毎日飲んでいます。薬を飲んでいても続けていいですか?

薬剤師たけすた 薬剤師たけすた

ワルファリンを飲んでいる方は、青汁やクロレラは控えるよう案内されています。ほかの薬であれば問題にならないことも多いので、飲んでいる薬の名前と一緒に確認させてください。


自己判断で足してよいか|線引きの目安

「どこまでなら自分で決めていいか」を、状況ごとにまとめました。◯は表示の目安量を守る前提です。

サプリを自己判断で足してよいかの線引き(◯△×の目安)

今の状況自己判断どうするか
薬を飲んでいない
持病もない
◯表示の目安量を守って使う
市販薬を数日だけ飲んでいる△薬を買うときに、飲んでいるサプリを薬剤師に伝える
病院の薬を毎日飲んでいる△足す前に、医師か薬剤師に成分表示を見せて確認する
血液を固まりにくくする薬を飲んでいる×自己判断で足さない。処方した医師に相談する
手術や抜歯の予定がある×飲んでいるサプリを担当医に伝え、指示に従う
妊娠中・授乳中×自己判断で足さない。医師か薬剤師に相談する

機能性表示食品のパッケージにも、薬を飲んでいる人は医師・薬剤師に相談するよう求める注意書きが入っています。食品安全委員会も、薬を飲んでいる人が健康食品を併せて摂るときは、医師・薬剤師の助言を受けるよう呼びかけています。
出典:食品安全委員会「いわゆる『健康食品』に関するメッセージ」2015年12月


薬剤師の本音

飲み合わせを確かめるうえで大切なのは、何を飲んでいるかが正確に分かることです。「ビタミンのサプリ」とだけ伝わっても、中身によって答えが変わります。

もう一つ気をつけてほしいのは、薬をやめてサプリに置き換えることです。サプリは薬の代わりにはなりません。飲んでいる薬を減らしたい、やめたいと思ったら、まず処方した医師に相談してください。

薬剤師たけすた 薬剤師たけすた

サプリを足すのが悪いわけではありません。足す前に一度だけ、薬と並べて見る。その手間で防げることがあります。


よくある質問

ケンジさん ケンジさん

病院の薬を飲んでいます。ビタミンCくらいなら、聞かずに足してもいいですか?

薬剤師たけすた 薬剤師たけすた

足す前に一度、薬剤師に聞いてください。問題にならない組み合わせも多いですが、判断にはお薬手帳と成分表示の両方が必要です。ビタミンC単体に見えて、ほかの成分が入っている商品もあります。

サキさん サキさん

薬とサプリの時間をずらせば、飲み合わせは気にしなくていいですか?

薬剤師たけすた 薬剤師たけすた

時間をずらして避けられるのは、吸収の邪魔をし合う組み合わせだけです。薬の分解が速まる組み合わせや、作用が重なる組み合わせは、ずらしても避けられないことがあります。どちらに当たるかは薬剤師に確認してください。

ケンジさん ケンジさん

風邪で市販薬を飲む数日だけ、サプリは止めたほうがいいですか?

薬剤師たけすた 薬剤師たけすた

止めるかどうかは、薬とサプリの組み合わせで変わります。買うときに、飲んでいるサプリを薬剤師に伝えてもらうのが確実です。風邪薬や漢方薬には甘草を含むものがあり、健康食品の成分と重なることがあります。

サキさん サキさん

子どもに、私の飲んでいるサプリを分けて飲ませてもいいですか?

薬剤師たけすた 薬剤師たけすた

大人用のサプリを分けて飲ませるのはおすすめしません。お子さまに使う場合は、必ず小児用の製品を使用してください。もしくは医師、薬剤師にご相談ください。

ケンジさん ケンジさん

手術の予定があります。サプリはいつまで飲んでいいですか?

薬剤師たけすた 薬剤師たけすた

飲んでいるサプリを、担当医にすべて伝えてください。出血に関わる成分もあるため、やめる時期は担当医の指示に従うのが安全です。


まとめ

  • 薬とサプリが重なると「働きが弱まる」「強く出すぎる」「吸収されにくくなる」の3つが起こりうる
  • 時間をずらして避けられるのは、吸収の邪魔をし合う組み合わせだけ
  • 相談するときは、お薬手帳とサプリの成分表示をセットで見せる
  • ワルファリンとビタミンK、ミネラルと一部の抗菌薬、甘草の重なりは代表的な注意点
  • 毎日飲む薬がある人は、足す前に医師か薬剤師に確認する。血液を固まりにくくする薬を飲んでいる人、手術や抜歯の予定がある人、妊娠中・授乳中の人は、自己判断で足さない

サプリは、上手に使えば食事の足りない部分を補う道具になります。薬を飲んでいる方は、次に薬局へ行くとき、飲んでいるサプリの成分表示を一緒に持っていってみてください。


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