· 薬剤師たけすた · 健康 · 20 min read
プレバイオティクスとプロバイオティクス|薬剤師が違いと組み合わせを整理
ヨーグルトは毎日食べている。でも「プレ」と「プロ」の違いはよく分からない。1文字違いの2つの言葉を「菌」と「エサ」に置き換えて、食事の中での役割を整理します。

ヨーグルトは毎日食べている。納豆も週に何回か食べている。でも、売り場で見る「プレ」と「プロ」の違いはよく分からない。
売り場のパッケージでは「プロバイオティクス」や「プレバイオティクス」という言葉をよく見かけます。どちらを選べばいいのか、迷う方も多いのではないでしょうか。
サキさんプレとプロって1文字しか違わないですよね。売り場で見るたびに、どっちが何なのか分からなくなります。
薬剤師たけすた中身は別のものです。ざっくり言うと、プロバイオティクスが菌そのもの、プレバイオティクスがその菌のエサになる成分です。
菌を入れることにも意味があります。それとは別に、腸に元々いる菌が使うエサも、食事の中で意識しておくと全体の形がそろいます。10年腸活を続けてきた薬剤師として、その順番を整理します。
薬局で「何を食べたらいいか」と聞かれたとき
薬局では、食事について相談を受けることがよくあります。そのときにお伝えしている順番があります。
ヨーグルトや納豆は、患者さんから良い感想をいただくこともあります。ただ先入観も混ざるので、私は評価が難しいと感じています。
薬剤師たけすた薬局で「何を食べたらいいか」と聞かれると、発酵食品を足すより、元々いる菌が使うエサのほうを先にお伝えしています。具体的には、白米にもち麦を混ぜることを最初にすすめています。
プロバイオティクス|生きた菌そのもの
プロバイオティクスは、国際的な専門家グループ(ISAPP=国際プロバイオティクス・プレバイオティクス科学協会)の合意文書で「適切な量をとったときに、食べた人(宿主)の健康に役立つ生きた微生物」と定義されています。
出典:Nature Reviews Gastroenterology & Hepatology誌 2014年(ISAPPによるプロバイオティクスの定義に関する合意文書)大事なのは「生きた」という部分です。身近な例としては、生きた菌を含むヨーグルト・納豆・キムチなどの発酵食品や、整腸剤がよく挙げられます。ただし、発酵食品のすべてがこの定義を満たすと確かめられているわけではなく、加熱した製品では菌が生きていないこともあります。
また、外から入れた菌の多くは腸に住み着かず、とるのをやめるとしだいに便から見つからなくなることが、複数の研究で報告されています(例: Zmora ら, Cell, 2018年)。ISAPPも、腸に住み着くことはプロバイオティクスの条件ではないという立場をとっています。
ケンジさん住み着かないなら、食べても意味がないんじゃないですか?
薬剤師たけすた意味が無いわけではありません。イメージとしては「貯金」よりも「通勤」に近く、毎日入れ替わりながら通り過ぎていくものです。
プレバイオティクス|元々いる菌のエサ
プレバイオティクスは、同じ専門家グループの合意文書で「食べた人の腸内細菌に選んで使われて、体に良い働きをもたらす成分(基質)」と定義されています。
出典:Nature Reviews Gastroenterology & Hepatology誌 2017年(ISAPPによるプレバイオティクスの定義に関する合意文書)こちらに入るのは、イヌリンやオリゴ糖などです。グァー豆由来の食物繊維やもち麦のβ-グルカンも、菌が食べる側の成分として研究されています。
ねらいは、腸に元々いる菌が使うエサを届けることです。多くの人の腸にはビフィズス菌や乳酸菌が元々いるので、その菌が使う成分を食事に入れておくという考え方になります。

2つを並べて見る
| 項目 | プロバイオティクス | プレバイオティクス |
|---|---|---|
| 正体 | 生きた菌 | 菌のエサになる成分 |
| 代表例 | ヨーグルト 納豆 キムチ 整腸剤 (生きた菌を含むもの) | イヌリン オリゴ糖 グァー豆由来の食物繊維(研究中) もち麦のβ-グルカン(研究中) |
| 腸での立ち位置 | 外から入れる | 元々いる菌が使う |
| やめたとき | しばらくすると元の状態に近づく | 食事の中身しだいで変わる |
| お腹の反応 | 体質によりガスや張りが出る方もいる | 量が多いとガスや張りが出やすい(少量から) |
どちらが上という話ではありません。役割が違うので、片方だけでは埋まらない部分がお互いにあります。
両方そろえると「シンバイオティクス」になる
菌とエサを組み合わせたものを、シンバイオティクスと呼びます。これも合意文書で定義があり、「食べた人の腸内細菌に選んで使われる成分(基質)と、生きた菌を合わせたもので、体に良い働きをもたらすもの」とされています。菌とエサを組み合わせたときの働きは、今も研究が進められている途中です。
出典:Nature Reviews Gastroenterology & Hepatology誌 2020年(ISAPPによるシンバイオティクスの定義に関する合意文書)菌を入れること自体を否定する話ではありません。そこにエサもそろえておくのが、シンバイオティクスの考え方です。
ここで知っておきたいのが、エサの「質」です。水溶性食物繊維の中でも、腸内細菌にどれだけ分解されるかには差があります。
消費者庁の通知では、腸内細菌に分解される割合(発酵分解率)が75%以上の食物繊維は、エネルギーを1gあたり2kcalとして計算します。分解されやすさに差があることが、この区分からも分かります。
出典:消費者庁「食品表示基準について」(2015年・消食表第139号)別添 難消化性糖質及び食物繊維のエネルギー換算係数
薬剤師たけすた発酵分解率の話は、詳しく知りたい方だけで大丈夫です。ふだんの食事では、もち麦や水溶性食物繊維のどれかを毎日入れておく、くらいの考え方で始められます。
ポストバイオティクスは「生きていない菌」
最近は4つ目の言葉も見かけるようになりました。ポストバイオティクスです。
合意文書では「体に良い働きをもたらす、生きていない菌やその成分を製品にしたもの」と定義されています。死んだ菌の体や、その成分を指します。菌が作る短鎖脂肪酸だけを取り出したものは、この定義には入らないとされています。
出典:Nature Reviews Gastroenterology & Hepatology誌 2021年(ISAPPによるポストバイオティクスの定義に関する合意文書)4つの言葉は、台所にたとえると一気に整理できます。

| 言葉 | 中身 | 台所にたとえると |
|---|---|---|
| プロバイオティクス | 生きた菌 | 料理人 |
| プレバイオティクス | 菌のエサ | 食材 |
| シンバイオティクス | 菌とエサの組み合わせ | 料理人と食材をそろえる |
| ポストバイオティクス | 生きていない菌やその成分 | 仕事を終えた料理人と道具 |
料理人と食材は役割が別、というのが4つの言葉の関係です。
何から足すか|順番をはっきりさせる
全部を同時に始める必要はありません。手間の少ない順に並べます。
| やること | 手間 | 優先度 |
|---|---|---|
| 白米にもち麦を混ぜる | ほぼゼロ | ◎ |
| 水溶性食物繊維サプリを少量から足す | 小さい | ◎ |
| 発酵食品を1日1品だけ固定する | 小さい | ◯ |
| お腹の調子が気になる時に整腸剤を使う(表示の用法・用量どおり) | 小さい | ◯ |
| ヨーグルトの銘柄を何種類も買い足す | 大きい | △ |
理由は単純で、エサのほうが安く、すでにある食事に混ぜるだけで済むからです。白米にもち麦を混ぜるのに、新しい習慣はひとつも増えません。
✅ 今日できるのは「次に炊くごはんにもち麦を混ぜる」だけで十分です
市販の整腸剤には、指定医薬部外品と医薬品があります(この記事の後半で紹介するビオスリーHi錠は指定医薬部外品です)。使う場合は製品に書かれた用法・用量を守り、しばらく使っても調子が変わらない時は使うのをやめて医師か薬剤師に相談してください。食物繊維は食事と一緒にとると、菌とエサを同じタイミングにそろえやすくなります。
正直に言うと
いくつか、書いておきたいことがあります。
まず、どの菌が誰に合うのかは、まだ分かっていないことが多い分野です。「◯◯菌配合」と書かれた製品の菌の数だけで選ぶのは、あまり意味がないと考えています。
次に、エサのほうにも合わない方がいます。食物繊維を摂ると毎回お腹が痛くなる、ガスと張りが強く出る——こうした場合は、体質や腸の病気が関係していることもあります。
- ⚠️ 食物繊維を摂ると毎回お腹が痛くなる
- ⚠️ 下痢と便秘を繰り返している
- ⚠️ 便通がいつもと違う状態が長く続いている
当てはまる方は、自己判断で量を増やさず医師に相談してください。サプリを使う場合も、製品に書かれた目安量より少ない量から始めてください。
もうひとつ。腸だけで体調が決まるわけではありません。睡眠・運動・ストレス・薬の影響が全部混ざります。腸はそのうちの1本の線です。
薬剤師たけすた食物繊維は腸内細菌のエサになる成分です。食事から足りない分を補う位置づけで考えてください。
エサと菌、それぞれの商品例
売り場でよく目にする商品を、エサ側と菌側に分けて紹介します。商品カードはAmazon・楽天の広告リンクです。
エサ(プレバイオティクス)

サンファイバー
グァー豆由来の水溶性食物繊維(PHGG)。味やとろみが出にくい
グァー豆由来の水溶性食物繊維です。粘りが少なく、味噌汁・コーヒー・お茶に溶かしてもほぼ味が変わりません。食物繊維のサプリを初めて使う方は、少量から始めてください。
※本記事はアフィリエイトリンクを含みます。商品紹介は薬剤師としての個人的見解であり、効果・効能を保証するものではありません。 既往症・服薬中の方は必ず主治医・薬剤師にご相談ください。

イヌリン(食物繊維サプリ)
水溶性食物繊維のイヌリン。白湯や飲み物に溶かしてとれる
リンク先は一例です。水溶性食物繊維のイヌリンです。白湯に溶かすだけでとれます。発酵が比較的速いため、お腹が張りやすい方は少量から始めてください。原料は製品の表示で確認してください。
※本記事はアフィリエイトリンクを含みます。商品紹介は薬剤師としての個人的見解であり、効果・効能を保証するものではありません。 既往症・服薬中の方は必ず主治医・薬剤師にご相談ください。
2つの違いをもっと細かく比べたい方は、サンファイバーとイヌリンの比較記事にまとめています。
菌(プロバイオティクス)

ビオスリー Hi 錠
糖化菌・乳酸菌・酪酸菌の3種類の菌を配合した整腸剤(指定医薬部外品)
糖化菌・乳酸菌・酪酸菌の3種類を1つの錠剤にまとめた、整腸を目的とした指定医薬部外品です。用法・用量は製品の表示を確認してください。持病や服用中の薬がある方は、かかりつけの医師か薬剤師にご相談ください。
※本記事はアフィリエイトリンクを含みます。商品紹介は薬剤師としての個人的見解であり、効果・効能を保証するものではありません。 既往症・服薬中の方は必ず主治医・薬剤師にご相談ください。
中身と使い方をもう少し詳しく書いたものは、ビオスリー Hi 錠の成分と使い方のまとめにあります。
食品から菌を摂りたい方は、サプリを買い足さずに発酵食品を1品固定するだけでも形になります。
よくある質問
サキさんヨーグルトを毎日食べていれば、プレバイオティクスは要りませんか?
薬剤師たけすた生きた菌を含むヨーグルトを毎日食べているなら、菌のほうはもうとれています。そこに腸にいる菌のエサも足すと、形がそろいます。無糖ヨーグルトにオリゴ糖やもち麦のシリアルを少し混ぜると、同じ一皿で菌とエサの両方になります。買い足すものを増やさずに形が整います。
ケンジさんプレとプロ、飲むタイミングはずらしたほうがいいですか?
薬剤師たけすた一般的な食物繊維と整腸剤なら、同じタイミングでかまいません。むしろ一緒のほうが習慣として続きます。整腸剤は製品に書かれた飲み方に合わせ、食物繊維は食事と一緒か食後を目安にしてください。抗生物質など飲んでいる薬がある方は、飲み合わせを薬剤師に確認してください。
サキさんどれくらい続ければ変化が分かりますか?
薬剤師たけすた期間で区切るより、無理なく続けられる形かどうかを先に見てください。お腹の張りや痛みが続く時は、量を増やさずに医師、薬剤師にご相談ください。
ケンジさんやめたら元に戻りますか?
薬剤師たけすた外から入れた菌の分は、やめるとしだいに元の状態に近づきます。ただ食事から食物繊維が十分摂れるようになれば、サプリは減らしても大丈夫です。もち麦・海藻・果物が毎日入っているかが目安になります。
サキさんオリゴ糖もプレバイオティクスですか?砂糖の代わりに使えますか?
薬剤師たけすたフラクトオリゴ糖やガラクトオリゴ糖など、プレバイオティクスとして研究されている種類があります。ただし製品によっては砂糖や水あめが多く入っているので、原材料表示の先頭を見てください。摂りすぎるとお腹がゆるくなる方がいます。
ケンジさん子どもにも同じ考え方でいいですか?
薬剤師たけすたお子さんは、まず食事(ごはん・野菜・果物・海藻)で考えてください。サプリや整腸剤を使う場合は、必ず小児用の製品を使用してください。もしくは医師、薬剤師にご相談ください。製品に書かれた対象年齢と量も必ず確かめ、対象年齢に入っていない製品は使わないでください。
まとめ
- プロバイオティクスは生きた菌、プレバイオティクスはその菌のエサになる成分
- 食品から摂る菌の多くは住み着かないため、食事の中で続けることが前提になる
- 菌とエサを組み合わせたものをシンバイオティクスと呼び、国際的な専門家グループ(ISAPP・2020年)が定義している
- ポストバイオティクスは、生きていない菌やその成分を使ったもの
- 最初の一手はもち麦。次に水溶性食物繊維サプリを少量から
- 食物繊維で毎回お腹が痛くなる方は、量を増やす前に医師へ相談を
💡 新しく買うものを増やす前に、今日のごはんにもち麦を混ぜるところからで十分です。
私自身は、ごはんにもち麦を混ぜています。腸活はこだわりすぎず、「できるだけやる」くらいで続けています。



