· 薬剤師たけすた · 健康 · 19 min read
酪酸菌とは|薬剤師が整腸剤と食品での補い方を比べる
酪酸菌は、腸の中で酪酸という成分をつくる菌です。ぬか漬けなどの食品でとる方法と、酪酸菌を配合した整腸剤でとる方法の違いを、ぬか漬けが続かなかった薬剤師の本音と一緒に整理します。

「酪酸菌がいいらしい」と聞いて、ぬか漬けを始めてみた。でも、ぬか床を毎日かき混ぜるのは思ったより大変で、気づけば冷蔵庫の奥に入ったまま。そんな経験がある方もいると思います。
サキさん酪酸菌をとりたくてぬか漬けを始めたんですけど、続かなくて。整腸剤に頼るのって、ずるい気がするんです。
薬剤師たけすたそう感じる方は多いと思います。実は私も、ぬか漬けは続きませんでした。食品と整腸剤はそれぞれ得意なことが違うので、生活に合うほうを選べばいいと思います。
この記事では、酪酸菌がどんな菌なのかを整理したうえで、食品でとる方法と整腸剤でとる方法の違いを比べます。自分に合う補い方を選ぶための材料として読んでください。
酪酸菌は「酪酸をつくる菌」
酪酸菌は、腸の中で酪酸(らくさん)という成分をつくる菌をまとめた呼び名です。整腸剤によく使われているのは、酪酸菌(Clostridium butyricum)という種類です。
酪酸は、腸内細菌がつくる有機酸(短鎖脂肪酸)の1つです。大腸の粘膜の細胞が、酪酸を主なエネルギー源として使っていると報告されています。
出典:Roediger WE, “Role of anaerobic bacteria in the metabolic welfare of the colonic mucosa in man”, Gut, 1980年
ここで1つ、言葉を整理しておきます。
- 酪酸菌:菌の名前。生きている微生物
- 酪酸:菌がつくる成分の名前
名前が似ているので混ざりやすいのですが、「菌」と「菌がつくる成分」は別のものです。酪酸そのものについては、短鎖脂肪酸とはで詳しく整理しています。
胃を通りぬけやすい形になれる菌
酪酸菌は、芽胞(がほう)という殻にこもったような形になれる菌です。芽胞の形になると、熱や酸に強くなるとされています。
そのため、胃酸の中を通って腸まで届きやすい菌だとメーカーは説明しており、整腸剤に使われてきました。
出典:ミヤリサン製薬株式会社 公式サイト(製品情報・宮入菌について、2026年11月確認)酪酸が腸の中でできるまでの2つの道
腸の中で酪酸ができるまでには、大きく分けて2つの道があると考えると整理しやすくなります。
- 酪酸菌そのものを外から入れる(食品・整腸剤)
- 腸にもともといる菌が、食物繊維をエサにして酪酸をつくる

この記事のテーマは1つ目の「外から入れる」ほうです。ただ、私自身は2つ目の「もともといる菌が食物繊維をエサにする」ほうをより大事にしています(理由は後半の「私の場合の本音」で書きます)。両方を分けて考えると、何をすればいいかが整理しやすくなります。
ケンジさん酪酸菌を飲んでいれば、食物繊維はとらなくてもいいんですか?
薬剤師たけすた菌を入れることも、菌のエサをとることも、それぞれ別の役割があります。腸にもともといる菌は食物繊維をエサにして酪酸などをつくるので、食事の食物繊維は一緒に考えておきたいところです。
食品でとる方法
酪酸菌が含まれる食品として、よく名前が挙がるのがぬか漬けです。ぬか床には乳酸菌が多くすんでいて、酪酸菌などほかの菌が混ざることもあります。ただ、どの菌がどのくらいいるかは、ぬか床ごとに大きく違います。
食品でとる良さは、野菜と一緒に食卓にのせられることです。毎日の食事の中で、自然に続けられる人には向いている方法です。
一方で、気をつけたい点もあります。
- ぬか床の菌の種類と数は、家ごと・季節ごと・日ごとに変わる
- どのくらいの酪酸菌が入っているかは、表示されていない
- ぬか漬けは塩分が多めの食品なので、食べる量に気をつけたい
- ぬか床は毎日かき混ぜるなど、手入れの手間がかかる
薬剤師たけすた正直に言うと、ぬか漬けは毎日食べることが続きませんでした。今もたまに食べる程度です。
整腸剤でとる方法
酪酸菌は、ドラッグストアで買える整腸剤にも配合されています。代表的なものは次の2つです。
- ビオスリー Hi 錠:酪酸菌・乳酸菌・糖化菌の3種類
- 強ミヤリサン錠:酪酸菌(宮入菌)だけ
整腸剤の良さは、入っている菌の種類と量が箱に書いてあることです。たとえばビオスリー Hi 錠は、1日量(6錠)に酪酸菌が150mg入っていると表示されています。
出典:ビオスリー Hi 錠 添付文書(製造販売元 東亜薬品工業・販売元 アリナミン製薬)成分・分量
毎日同じ量をとれること、手入れがいらないことも、続けやすさにつながります。
一方で、整腸剤は食品ではなく、整腸(便通を整える)・軟便・便秘・おなかの張りに使うと決められた製品です。決められた用法・用量を守って使い、1か月ほど飲んでもよくならない時は飲むのをやめて医師か薬剤師に相談してください。医師の治療を受けている方は、使う前に医師か薬剤師に相談してください。
出典:ビオスリー Hi 錠 添付文書 使用上の注意(製造販売元 東亜薬品工業・販売元 アリナミン製薬)
ほかに薬を飲んでいる方、妊娠中・授乳中の方も、念のため使う前に医師か薬剤師に相談しておくと安心です。
薬剤師たけすた私自身は、酪酸菌を配合した整腸剤を10年ほど飲んでいます。ただ、これは私個人の習慣で、薬剤師としてどれかをおすすめするものではありません。合うかどうかは人によって違います。
整腸剤どうしの違いは、整腸剤の選び方で3製品を並べて比べています。
食品と整腸剤を比べる
ここまでの違いを、表にまとめます。◎◯△は「その項目でどのくらい扱いやすいか」の目安で、どちらが体に合うかの順位ではありません。
| 比べる点 | 食品 (ぬか漬けなど) | 整腸剤 |
|---|---|---|
| 菌の量が分かるか | △ 表示なし 日によって変わる | ◎ 箱に表示あり |
| 毎日の手間 | △ ぬか床の手入れが要る (買う場合は少ない) | ◎ 飲むだけ |
| 食事としての楽しみ | ◎ 野菜と一緒に食べられる | △ 食事とは別 |
| 気をつけたいこと | 塩分のとりすぎ | 用法・用量を守る 持病や薬は相談 |

サキさんこうやって並べると、どっちかだけが正しいわけじゃないんですね。
薬剤師たけすたそうなんです。ぬか漬けが好きで続けられる人は食品で、おなかの調子を整えたい時は表示の用法・用量の範囲で整腸剤を、と生活に合わせて選べば十分です。両方を組み合わせてもかまいません。
私の場合の本音
私は腸活を10年ほど続けています。腸活はこだわりすぎるとキリがないので、続けられる形を選ぶようにしています。
今は、酪酸菌は整腸剤で補っています。発酵食品は、毎日食べている納豆と味噌汁で楽しんでいます。
薬剤師たけすた正直に言うと、菌を足すことより、水溶性食物繊維をとることのほうが大事だと私は考えています。善玉菌はもともと腸にいるので、そのエサを毎日の食事から届けることを優先しているからです。
薬局で「何を食べたらいいか」と聞かれた時は、白米にもち麦を混ぜることを強くすすめています。いつものごはんを炊くだけで、水溶性食物繊維が無意識にとれるからです。
私は「絶対やる」ではなく「できるだけやる」くらいのつもりでいます。
商品の情報
ここからは、酪酸菌を配合した整腸剤と、菌のエサになる食物繊維の選択肢を並べます。薬剤師として特定の商品をおすすめするものではなく、選ぶ時の材料として表示の内容をまとめています。整腸剤(指定医薬部外品=ドラッグストアやコンビニでも買える、作用がおだやかな製品)には「自己使用品」の印を付けていません。「自己使用品」の印は、私が実際に食べている食品です。リンク先は楽天とAmazonです。

ビオスリー Hi 錠
酪酸菌・乳酸菌・糖化菌の3種類の菌を配合した整腸剤(指定医薬部外品)
酪酸菌・乳酸菌・糖化菌の3種類を1つの錠剤にまとめた、整腸を目的とした指定医薬部外品です。1日量(6錠)中に酪酸菌150mgと表示されています。用法・用量は製品の表示を確認してください。持病や服用中の薬がある方は、かかりつけの医師か薬剤師にご相談ください。
※本記事はアフィリエイトリンクを含みます。商品紹介は薬剤師としての個人的見解であり、効果・効能を保証するものではありません。 既往症・服薬中の方は必ず主治医・薬剤師にご相談ください。

強ミヤリサン錠
酪酸菌(宮入菌)だけを配合した市販の整腸剤(指定医薬部外品)
ミヤリサン製薬の、酪酸菌(宮入菌)だけを配合した整腸剤(指定医薬部外品)です。用法・用量は製品の表示を確認してください。処方薬を服用中の方は、使う前に医師か薬剤師にご相談ください。
※本記事はアフィリエイトリンクを含みます。商品紹介は薬剤師としての個人的見解であり、効果・効能を保証するものではありません。 既往症・服薬中の方は必ず主治医・薬剤師にご相談ください。
菌のエサになる食物繊維は、毎日の主食からとるのがいちばん手軽です。
キラリモチ(もち麦)
白米に混ぜて炊くだけ。水溶性食物繊維を毎日の主食から摂れる
β-グルカン(水溶性食物繊維)を含むもち麦です。白米の一部をもち麦に置き換えると、その分だけ食物繊維が増えます。含まれる量は製品によって違うので、袋の栄養成分表示をご確認ください。楽天で購入可能です。
※本記事はアフィリエイトリンクを含みます。商品紹介は薬剤師としての個人的見解であり、効果・効能を保証するものではありません。 既往症・服薬中の方は必ず主治医・薬剤師にご相談ください。
ビオスリー Hi 錠の成分と使い方は、ビオスリー Hi 錠の成分と使い方で詳しくまとめています。
よくある質問
ケンジさん市販のぬか漬けでも、酪酸菌はとれますか?
薬剤師たけすた商品によって違うので、はっきりとは言えません。作り方や殺菌の有無で菌の状態が変わり、酪酸菌の量も表示されていないことがほとんどです。
サキさん整腸剤を飲みながら、もち麦ごはんも食べて大丈夫ですか?
薬剤師たけすたもち麦はふだんの食事なので、整腸剤と一緒に続けてかまいません。整腸剤は表示の量と飲み方を守り、持病がある方やほかに薬を飲んでいる方は、使う前に医師か薬剤師に相談してください。
ケンジさん抗生物質を飲んでいる時も、酪酸菌の整腸剤を飲んでいいですか?
薬剤師たけすた出された抗生物質の種類によって変わるので、お薬をもらった薬局で聞いてください。お薬手帳を見ながら、一緒に飲めるかどうかを答えてもらえます。
サキさん子どもにも酪酸菌の整腸剤を飲ませていいですか?
薬剤師たけすた必ず小児用の製品(箱にお子さんの年齢の用法・用量が書かれている製品)を使用してください。もしくは医師、薬剤師にご相談ください。整腸剤は製品ごとに飲める年齢と量が決められていて、この記事で紹介したビオスリー Hi 錠と強ミヤリサン錠は、5歳未満のお子さまは服用しないと表示されています。お子さまに使う前に、箱の表示を必ず確かめてください。
まとめ
- 酪酸菌は、腸の中で酪酸という成分をつくる菌。「酪酸菌」は菌、「酪酸」は成分
- 腸の中の酪酸には「酪酸菌を外から入れる」と「もともといる菌が食物繊維をエサにする」の2つの道がある
- 食品(ぬか漬けなど)は食卓で続けられる良さがある一方、菌の量は分からず、塩分にも気をつけたい
- 整腸剤は菌の種類と量が箱に表示されていて、毎日同じ量をとりやすい
- 続けられるほうを選び、食事の食物繊維も一緒に考える



