· 薬剤師たけすた · 健康 · 20 min read
旅行や出張で腸が乱れるとき|薬剤師が整理する持ち物と戻し方
旅行や出張に行くと、決まって便秘になる。逆にお腹がゆるくなる。いつもと違う時間・食事・トイレが重なると、腸のリズムは崩れやすくなります。出発前の準備、かばんに入れておきたい持ち物、帰ってからの戻し方を順番にまとめました。

旅行や出張に行くと、決まってお通じが止まる。2日、3日と出ないまま、お腹が重くなっていく。
反対に、旅先で食べすぎたり、慣れない水や食事が続いたりして、お腹がゆるくなる人もいます。楽しみにしていた旅行なのに、トイレのことばかり気になってしまう。
サキさん旅行に行くと毎回便秘になるんです。家ではちゃんと出ているのに、どうしてなんでしょう。
薬剤師たけすた食事が変わることも大きいです。それに加えて、起きる時間やトイレに行くタイミングも変わります。腸はそういう「いつもの流れ」に合わせて動いているので、いくつも重なると乱れやすくなります。
旅先の腸の乱れは、乱れる理由を知っておけば、持ち物と過ごし方で備えられます。
この記事では、乱れる理由を3つに分けたうえで、出発前・移動中・旅先・帰ってからの順に、できることを整理します。
旅先で腸が乱れる3つの理由
旅行や出張で起きていることは、大きく次の3つに分けられます。
| 理由 | 何が変わるか | 出やすい変化 |
|---|---|---|
| ① 時間のずれ | 起きる時間 食事の時間 時差 | 便意が来るタイミングがずれる |
| ② 食事と水分 | 外食の多さ 野菜の少なさ 飲む量 | 便が硬くなる 食べすぎでゆるくなる |
| ③ トイレの我慢 | 移動中や慣れない場所 人と一緒の行動 | 便意を逃して出にくくなる |

①の時間のずれは、見落とされやすい理由です。腸の動きにも1日のリズムがあり、朝起きて食事をとると、大腸が強く動いて便意が起きやすくなるとされています(胃結腸反射)。旅先で起きる時間や朝食の時間が変わると、この流れが乱れます。
②の食事と水分では、外食やコンビニの食事が続いて、食物繊維が足りなくなりがちです。移動中は飲む量も減ります。便のかさと柔らかさを支えているのは食物繊維と水分なので、どちらも減れば便は小さく硬くなります。
③のトイレの我慢も見逃せません。便意はずっと続くものではなく、我慢していると引いてしまいます。くり返すうちに便意そのものを感じにくくなることがあるとされています。
薬剤師たけすた旅先の便秘は、3つのうちどれか1つより、全部が少しずつ重なって起きることが多いです。だから備えも1つに頼らず、少しずつ分けておくのが現実的です。
出発前にしておきたいこと
旅先で何かを始めるより、出発前の数日を整えておくほうが楽です。
- 出発前の数日は、食物繊維と水分をふだん通り、もしくは少し多めにとる
- 出発の朝は、少し早めに起きてトイレの時間をとる
- 長距離の移動がある日は、前日の食べすぎと飲みすぎを控える
- 海外に行く方は、渡航先の水や食事の注意を調べておく
海外では、慣れない水や食べものから、お腹をこわすことがあります。旅行者の下痢(旅行者下痢症)は、旅行中に起きやすい病気の代表で、行き先や季節によって、2週間のあいだに旅行者の30〜70%に起きると報告されています。
出典:米国疾病予防管理センター(CDC)「CDC Yellow Book 2026:Travelers’ Diarrhea」(2026年10月確認)
生水や氷、よく火が通っていない料理、皮をむかずに食べる果物などには気をつけたいところです。水道水をそのまま飲めない国では、ふたの閉まった市販の水を選んでください。
かばんに入れておきたい持ち物
旅先で一番困るのは、「いつものもの」が手に入らないことです。ここでは、持ち歩きやすさを軸に整理します。
| 持ち物 | 持ち歩きやすさ | ひとこと |
|---|---|---|
| ふだん飲んでいる整腸剤 | ◎ | 錠剤なら小分けにしやすい 日数分だけ持っていく |
| 個包装の食物繊維サプリ | ◎ | 水やお茶に溶かすだけ 外食続きの日の補いに |
| 水のペットボトル | ◯ | 移動中の水分不足に 飛行機の中は乾きやすい |
| ふだん使っている便秘薬や下痢止め | ◯ | 使い慣れたものだけ 旅先で新しい薬を試さない |
| 持病の薬とお薬手帳 | ◎ | 日数より少し多めに持つ 手荷物に入れておく |

ポイントは、旅先で新しいものを試さないことです。初めて飲む便秘薬で、旅先で急にお腹が痛くなると、行動の予定そのものが崩れます。使ったことがあって、説明書の飲み方に慣れているものを持っていきます。
持病の薬は、預ける荷物ではなく手荷物に入れてください。荷物が遅れても、薬が切れずにすみます。
ケンジさん出張だと荷物を減らしたいんです。全部は持っていけません。
薬剤師たけすたそれなら、ふだん飲んでいる整腸剤と個包装の食物繊維を、日数分だけ小さなポーチにまとめておくと持ち歩きやすいです。持病の薬がある方は、その薬とお薬手帳だけは必ず手荷物に入れてください。水は現地で買えば足ります。
移動中と旅先での過ごし方
旅先では、家と同じ生活はできません。全部を守ろうとせず、次の3つだけ意識します。
1. 水を飲む量を減らさない
移動中は、トイレの回数を減らしたくて水分を控えがちです。ただ、水分が減ると便は硬くなります。飛行機や新幹線の中では、こまめに少しずつ飲んでください。
お酒やカフェインの多い飲み物は、体の水分を外に出しやすい面があります。飲んだ分とは別に、水も飲んでおくと安心です。
2. 朝食をとって、トイレの時間をつくる
ホテルの朝食は、腸にとってのスイッチです。朝食後に10分でもトイレの時間をとっておくと、便意を逃しにくくなります。
薬剤師たけすた私はふだん16時間のファスティングをしていて、朝食をとらない生活です。そのぶん、朝は白湯を飲むところから1日を始めると決めています。朝食をとる方もとらない方も、朝に何か1つ決まった流れをつくっておくと、旅先でも便意のタイミングをつかみやすくなります。
3. 外食では、1品だけ食物繊維を足す
旅先の食事は楽しみの1つです。我慢する必要はありません。そのうえで、1食に1品だけ野菜や海藻、きのこ、豆の料理を足すと、食物繊維が不足しにくくなります。
コンビニなら、サラダ、もずく酢、納豆、もち麦入りのおにぎりなどが選びやすいところです。
持ち物の候補
持ち物の表に挙げたもののうち、2つを紹介します。下の Amazon・楽天のリンクは広告(アフィリエイトリンク)です。

ビオスリー Hi 錠
糖化菌・乳酸菌・酪酸菌の3種類を配合した錠剤タイプの整腸剤
糖化菌・乳酸菌・酪酸菌の3種類の菌を1つの錠剤に配合した指定医薬部外品です。錠剤なので、日数分を小さな容器に分けて持ち歩けます。旅先でも、ふだんと同じものを同じ量で続けやすいのが錠剤の良さです。用法・用量を守って使ってください。
※本記事はアフィリエイトリンクを含みます。商品紹介は薬剤師としての個人的見解であり、効果・効能を保証するものではありません。 既往症・服薬中の方は必ず主治医・薬剤師にご相談ください。

サンファイバー
水やお茶に溶かせる、グアー豆由来の水溶性食物繊維
グアー豆から作った水溶性の食物繊維(グアーガム分解物=PHGG)です。粘りが少なく、飲み物に混ぜても味がほとんど変わりません。外食やコンビニの食事が続いて食物繊維が足りない日に、食事の補いとして使えます。お腹が張りやすい方は少なめの量から始めてください。
※本記事はアフィリエイトリンクを含みます。商品紹介は薬剤師としての個人的見解であり、効果・効能を保証するものではありません。 既往症・服薬中の方は必ず主治医・薬剤師にご相談ください。
薬剤師たけすたサプリや整腸剤は、ふだん続けている習慣を旅先でも同じように続けるためのものと考えています。
3種類の菌の役割や、ほかの整腸剤との違いはビオスリー Hi 錠の3種類の菌と、ほかの整腸剤との違いにまとめています。
帰ってからの戻し方|3日間の目安
旅行から帰ったあと、お腹の調子がなかなか戻らないこともあります。焦って一気に取り戻そうとせず、3日ほどかけてふだんの流れに戻します。
| 日 | やること |
|---|---|
| 1日目 | いつもの時間に起きる 水分を多めにとる 食事は軽めにして胃腸を休める |
| 2日目 | いつもの食事に戻す 朝食後のトイレの時間をつくる 整腸剤や食物繊維をふだんの量で続ける |
| 3日目 | 散歩などで体を動かす お通じの回数と硬さを確かめる |

戻すときに一番大事なのは、起きる時間をそろえることです。食事やトイレの時間は、起きる時間に引っぱられて決まっていきます。
食物繊維を急に増やしすぎるのも避けたいところです。旅行で減っていた分を一度に取り返そうとすると、お腹が張りやすくなります。
薬剤師たけすた腸活は「絶対やる」より「できるだけやる」くらいがちょうどいいと思っています。旅行で数日崩れても、戻ってきてまた続ければ大丈夫です。
ふだんの腸活の流れは、薬剤師が10年続けている腸活習慣で1日の流れとしてまとめています。
受診を考えたいサイン
旅先や帰ってからのお腹の不調の多くは、数日で落ち着きます。ただし、次のような時は様子を見ずに医療機関で相談してください。
- 熱がある、便に血が混じる、黒っぽい便が出る
- 水のような下痢が続き、水分がとれない、尿が少ない
- 吐き気や嘔吐が続く、強い腹痛がある
- お腹が張って、ガスも便もまったく出ない
- 帰国してから下痢や発熱が続いている
熱や血便をともなう下痢では、自己判断で下痢止めを使わず、医療機関に相談してください。 原因によっては、下痢止めで体の外に出すべきものをとどめてしまうことがあります。
海外から帰ってきて体調を崩した時は、受診の際に渡航先と滞在期間を医師に伝えてください。帰国時に空港の検疫所で相談することもできます。
出典:厚生労働省検疫所 FORTH(海外渡航者向けの健康情報)(2026年10月確認)
よくある質問
ケンジさん旅行のときだけ便秘薬を飲んでもいいですか?
薬剤師たけすた旅先で便秘になった時に、ふだん使っている便秘薬を使うことはできます。便秘になっていないのに、予防のつもりで飲むのは避けてください。用法・用量は旅先でも説明書のとおりに守り、初めての薬を旅先で試すのも避けてください。妊娠中・授乳中の方、持病や服用中の薬がある方は、出発前に医師か薬剤師に相談しておくと安心です。
サキさん整腸剤は、旅行の何日か前から飲んでおいたほうがいいですか?
薬剤師たけすたふだんから飲んでいる方は、旅行中もそのまま続けるのが一番です。飲んでいない方は、出発前から始めておくと、合うかどうかを家で確かめられます。
ケンジさん時差のある海外出張だと、何日もお通じが来ません。
薬剤師たけすた時差で起きる時間と食事の時間がずれると、便意のタイミングもずれやすくなります。現地の時間に合わせて朝食をとり、その後にトイレの時間をつくってください。水分と体を動かすことも意識すると、流れが戻りやすくなります。
サキさん子どもを連れた旅行でも、同じように考えていいですか?
薬剤師たけすた水分、朝のトイレの時間、食事の考え方は同じです。薬や整腸剤は、必ず小児用の製品を使用してください。もしくは医師、薬剤師にご相談ください。小児用でも飲める年齢と量は製品ごとに違うので、出発前に説明書で確かめておくと安心です。
まとめ
旅行や出張で腸が乱れるのは、時間・食事と水分・トイレの3つが、少しずつ一度に変わるからです。
- 出発前の数日は、食物繊維と水分をふだん通りかやや多めに
- かばんには、ふだん飲んでいる整腸剤と個包装の食物繊維、持病の薬
- 旅先では、水を減らさない・朝食後のトイレ・外食に1品足す、の3つだけ
- 帰ってからは、起きる時間をそろえて3日かけて戻す
- 熱・血便・水分がとれない下痢は、様子を見ずに受診する
旅先の数日を完璧にする必要はありません。ふだんの流れを持っていける分だけ持っていって、帰ってきたらまた続ける。腸の調子は、その積み重ねで決まっていくものだと思っています。



